セッション情報 中国支部研修医奨励賞(卒後2年目迄)

タイトル 25:

全身骨に造骨性骨転移をきたした胆嚢癌の一例

演者 加藤 晴菜(広島赤十字・原爆病院 消化器内科)
共同演者 木曽 まり子(広島赤十字・原爆病院 消化器内科), 古川 善也(広島赤十字・原爆病院 消化器内科), 後藤 久美子(広島赤十字・原爆病院 消化器内科), 黒木 一竣(広島赤十字・原爆病院 消化器内科), 篠原 芙美(広島赤十字・原爆病院 消化器内科), 金尾  浩幸(広島赤十字・原爆病院 消化器内科), 斎  宏(広島赤十字・原爆病院 消化器内科), 毛利  律生(広島赤十字・原爆病院 消化器内科), 森  奈美(広島赤十字・原爆病院 消化器内科), 高木 慎太郎(広島赤十字・原爆病院 消化器内科), 相坂  康之(広島赤十字・原爆病院 消化器内科), 藤原  恵(広島赤十字・原爆病院 病理診断科部)
抄録 【症例】69歳、男性。肺気腫・慢性呼吸不全にて前医にてHOTによる加療を受けていた。定期受診の血液検査にて血清ALPが1500U/Lと高値を指摘された。腹部エコーで胆嚢体部~底部に腫瘤性病変を認めたため腹部造影CTを施行し、胆嚢隆起性病変と、脊椎・胸骨・肋骨に骨硬化像を認めた。胆嚢癌が疑われたためFDG-PET CTを施行され、胆嚢にSUV max4.1の集積と全身骨にSUV max3.1の集積を認めた。胆嚢癌および多発骨転移が疑われ、当科紹介となった。当科で施行した腹部エコーでは胆嚢体部から底部にかけて腫瘍性病変と腫瘍の肝臓への浸潤を認めた。造骨性の骨転移を来すその他の病変の精査のため、前立腺を精査したが明らかな異常は認めなかった。CT・上部消化管内視鏡検査を施行したが、原発巣となり得る明らかな病変は認めなかった。そこで、胆嚢腫瘍生検および骨腫瘍生検を施行した。いずれの組織からもadenocarcinomaを認めたが、骨腫瘍組織像は胆嚢腫瘍組織像に比べ分化が不明瞭な小型の細胞から成っており、形態は異なるものであった。しかし、その他原発巣と考えられる病変はなく、胆嚢癌 S2, Hinf1, H0, Binf0, PV0, A0, P0, N0, St-:T2, N0, M1 cStageIVbと診断し、GEM 1150mg(81%)3投1休、骨転移に対してゾメタを開始した。しかし、GEM開始後から肺気腫が増悪したため、GEM6回投与したところでTS-1 80mgに変更し加療を継続した。初期治療4ヶ月後の腹部エコーでは胆嚢癌は増大し、肝内に多発する腫瘤および中等度の腹水を認め、抗癌剤治療を中止しBSCの方針となった。その後、全身状態が悪化し、初期治療開始から5ヶ月後に永眠された。病理解剖にて胆嚢癌の組織型は腺扁平上皮癌の像であり、全身骨の腫瘍組織も扁平上皮癌様成分と腺癌成分を認めた。以上より、胆嚢癌の多発骨転移と最終診断した。全身骨に造骨性転移をきたす胆嚢癌は稀であり、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 胆嚢癌, 骨転移