セッション情報 一般演題

タイトル 03:

臍転移(Sister Mary Josephs nodule)を来たした食道癌の1例

演者 佐々木 祐一郎(鳥取県済生会境港総合病院 消化器内科)
共同演者 中村 由貴(鳥取県済生会境港総合病院 消化器内科), 能美 隆啓(鳥取県済生会境港総合病院 消化器内科), 佐々木 宏之(同 健診センター)
抄録 【はじめに】内臓悪性腫瘍の臍転移はSister Mary Josephs nodule以下SMNとして知られ末期徴候とされている。
【症例】70歳代男性
【主訴】食後のつかえ感
【既往】脳梗塞
【現病歴】2012年3月下旬頃から食後のつかえ感が出現するようになったことから同年4月に当科外来を受診された。上部消化管内視鏡検査を施行した結果、食道進行癌(扁平上皮癌)を指摘した。また全身精査目的の胸腹部CTにて回盲部付近に腫瘤を指摘したことから大腸内視鏡検査を施行した。結果、同部位に2型進行癌(低分化型腺癌)を認めた。食道癌および大腸癌の加療目的で鳥取大学病院消化器外科に転院となり同月下旬に腹腔鏡補助下結腸右半切除術が施行された。その後、食道癌に対して放射線化学療法が施行され安定していたが同年9月に入り臍部に疼痛を伴う腫瘤が出現、徐々に増大しSMNと診断された。脳梗塞の既往があることなどから患者および家族ともに化学療法などの追加治療は希望されず経過観察となっていた。廃用性筋委縮が進行したことから2013年1月に理学療法目的で当科に入院となった。SMNは増大傾向を認め10cmを超えるほどの大きさとなった。経口摂取困難、悪液質が進行し同年5月に永眠された。死後、ご家族の同意を得てSMNから生検を施行した結果、扁平上皮癌が検出され食道癌による臍転移と考えられた。
【考察】SMNの頻度は約1~4%で原発腫瘍は胃癌、膵癌、卵巣癌、大腸癌が多いとされている。今回、我々は極めて稀な食道扁平上皮癌によるSMNを経験したことから文献的考察を加えて報告する。
索引用語 食道癌, 臍転移