セッション情報 中国支部研修医奨励賞(卒後2年目迄)

タイトル 27:

胆管アスペルギルス症の一例

演者 岩下 裕子(島根大学医学部附属病院 卒後臨床研修センター)
共同演者 園山 浩紀(島根大学医学部附属病院 第二内科), 森山 一郎(島根大学医学部附属病院 第二内科), 天野 知香(島根大学医学部附属病院 臨床病理部), 福庭 暢彦(島根大学医学部附属病院 第二内科), 石原 俊治(島根大学医学部附属病院 第二内科), 木下 芳一(島根大学医学部附属病院 第二内科)
抄録 症例は80代男性.2型糖尿病,高血圧,甲状腺機能低下症,脂質代謝異常症で近医通院中であった.2013年9月下旬に尿の濃染に気づいたため近医を受診した.採血で肝胆道系酵素の上昇,黄疸を認め,さらに腹部造影CT・MRCPで両側肝内胆管の拡張と中部胆管から肝門部にかけて狭細像を指摘された.肝門部胆管癌が疑われたためERCP施行されたが,胆汁細胞診・胆管生検いずれからも悪性所見を認めなかったため,精査・加療のため当院へ転院となった.確定診断のためEUS-FNAを検討したがEUSで中部胆管に12mm大の低エコー腫瘤を認めるものの穿刺が困難であったため再度ERCPを行うこととした.ERCPでは胆道鏡を用いて胆管狭窄部の観察を行うと胆管内に白色隆起を認めた.同部位から直接生検を行ったが悪性所見は認めなかった.しかし,組織とは別に標本内に菌糸状の菌体を認めた.Groccot染色やD-PAS染色の特殊染色を行ったところ陽性であり分節状の菌糸でもあることからこの菌体はアスペルギルスと考えた.このことから非常に稀であるが胆管アスペルギルス症と診断した.本症例はその後,アスペルギルス症に対して深在性真菌治療薬ボリコナゾールの内服を開始したが胆管狭窄は改善せず定期的にEBDチューブの交換を行っている.毎回,胆管生検・培養・胆汁細胞診を提出しているが悪性所見は認めていない.今回我々は胆管アスペルギルス症の一例を経験した.同疾患は非常に稀であり医中誌やPubMedでの検索でも数件報告があるだけである.本症例に対し文献的考察を加えて報告する.
索引用語 胆管アスペルギルス症, 閉塞性黄疸