セッション情報 一般演題

タイトル 36:

感染性心内膜炎を合併したステロイド依存性潰瘍性大腸炎患者の一例

演者 池淵 雄一郎(鳥取大学医学部機能病態内科)
共同演者 八島 一夫(鳥取大学医学部機能病態内科), 斧山 巧(鳥取大学医学部機能病態内科), 川田 壮一郎(鳥取大学医学部機能病態内科), 澤田 慎太郎(鳥取大学医学部機能病態内科), 山本 宗平(鳥取大学医学部機能病態内科), 今本 龍(鳥取大学医学部機能病態内科), 安部 良(鳥取大学医学部機能病態内科), 松本 和也(鳥取大学医学部機能病態内科), 河口 剛一郎(鳥取大学医学部機能病態内科), 原田 賢一(鳥取大学医学部機能病態内科), 村脇 義和(鳥取大学医学部機能病態内科)
抄録 【症例】40歳代の男性
【現病歴】2006年6月発症の全大腸型潰瘍性大腸炎。近医A病院入院となり、プレドニゾロン(PSL)40mg/dayにて加療。以後は外来で症状に合わせて5-ASA製剤に加えてPSL5-10mgが継続投与されていた。2012年5月末頃より腹痛、血便、下痢が出現。排便回数は8回程度、血便は認めたが、発熱・頻脈は認めず中等症の潰瘍性大腸炎として6月 A病院入院加療となる(便培養陰性、CMVアンチゲネミア陰性)。PSL50mgに増量し腹痛消失したが、下痢回数改善せず、加療目的に6月X日にB病院転院となった(第1病日とする)。B病院転院後、第3病日・第8病日にL-CAP施行。第9病日に38度発熱し、後に血液培養でStreptococcus agalactiae検出された。第10病日には敗血症性ショック及び脳梗塞、感染性心内膜炎を発症した。第14病日には大量下血を起こし、輸血を要した。加療により敗血症及び脳梗塞は安定したが、感染性心内膜炎から僧帽弁穿孔起こし、心不全状態となった。僧帽弁穿孔に対して手術が必要であり、第34病日に当院へ転院、同時に当科紹介となった。
【経過】当院転院後、当科、消化器外科、循環器内科、心臓血管外科にて検討を行った。潰瘍性大腸炎は中等症程度であったが、この時点でPSL40mg内服中であった。PSLの高容量内服が手術リスクを高めることが考えられたが、僧帽弁穿孔による心不全は緊急性が高く、第38病日に僧帽弁形成術行うこととなった。術後経過は良好であり、当科へ転科、第52病日にインフリキシマブ(IFX)投与。速やかに血便・下痢は改善し、PSL漸減、経口摂取も開始し、第66病日にIFX2回目を投与、第73病日退院となった。以後、経過良好で現在も外来フォローしている。
【考察】医学中央雑誌及びpubmedで検索し得た範囲内において血球除去療法が原因で敗血症になったという報告は認めないが、潰瘍性大腸炎と敗血症の関連性についての論文は散見する。本症例は潰瘍性大腸炎をベースに敗血症となり重篤な経過をたどった一例としてここに報告する。
索引用語 潰瘍性大腸炎, 敗血症