セッション情報 中国支部専修医奨励賞(卒後3-5年迄)

タイトル SR06:

保存的に加療できた門脈ガス血症の臨床的特徴

演者 坂口 智紘(津山中央病院 消化器・内視鏡センター)
共同演者 竹中 龍太(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 角南 智子(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 村上 麻友(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 岡 昌平(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 野島 一郎(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 岡崎 倫子(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 馬場 雄己(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 濱田 健太(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 赤穂 宗一郎(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 朝戸 俊行(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 河合 大介(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 高山 裕基(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 竹本 浩二(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 平良 明彦(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 柘野 浩史(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 藤木 茂篤(津山中央病院 消化器・内視鏡センター)
抄録 【背景】門脈ガス血症は予後不良の徴候とされるが、近年は保存的加療で軽快する症例の報告も散見する。しかしながら緊急開腹手術を行うか保存的治療を行うかの判断は容易ではない。【目的】門脈ガス血症症例の臨床的特徴について検討し、保存的治療の適応について考察した。【対象・方法】2009年4月から2013年7月に当院で施行したCT検査107787例のうち門脈ガスを認めた117例より心肺停止状態73例を除いた44例を対象とした。保存的治療可能であった26例(A群)と緊急開腹手術を施行、または開腹術の有無に関わらず死亡した18例(B群)において年齢、性別、基礎疾患(高血圧、糖尿病、虚血性心疾患、脳血管障害、肝硬変、腎不全、悪性腫瘍)、自覚症状(腹痛、便秘、嘔吐、下痢)、身体所見(収縮期血圧、脈拍、体温、腹部圧痛、腹膜刺激症状)、血液検査、血液ガス分析、腸管気腫併存の各項目について比較検討した。なお試験開腹のみ行った症例はA群に分類した。【結果】門脈ガス血症の原疾患はA群では、イレウス・便秘6例、大腸炎4例、急性胃拡張3例、小腸炎3例、ESD後胃潰瘍1例、十二指腸炎1例、腸管虚血1例、特発性7例であった。B群では腸管虚血・壊死10例、気腫性胆嚢炎3例、イレウス2例、子宮留膿腫破裂1例、敗血症1例、特発性1例であった。両群間で年齢、性別に有意差は認めなかった。基礎疾患、自覚症状でも両群間に有意差を認める項目はなかった。身体所見では体温(中央値)がA群36.6℃、B群37.3℃で有意差を認めた(p<0.01)。血液検査ではCRP、LDH、AST、CKで、血液ガス分析ではLactate、Base excess (BE)で両群間に有意差を認めた。腸管気腫併存については有意差はなかった。多変量解析の結果、保存的治療に独立して関与する因子としてCRPとBEが抽出された。ROC曲線を用いた解析よりCRP、BEのカットオフ値をそれぞれ12mg/dl、-4.0mmol/l と算出した。CRP 12mg/dl以下かつBE -4.0mmol/l以上であることは保存的治療適応の有用な予測因子と考えられた(感度91%、特異度89%)。【結論】門脈ガス血症における保存的治療適応の判断にCRP 値、BE 値が有用である。
索引用語 門脈ガス, 保存的加療