セッション情報 |
ワークショップ15(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)
総胆管結石症に対する治療法の選択と長期成績 (EST:内視鏡的治療 vs LCBDE:腹腔鏡下手術)
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タイトル |
内W15-7:胆管結石に対する内視鏡的乳頭括約筋切開術後の長期成績
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演者 |
鈴木 安曇(京都第二赤十字病院・消化器科) |
共同演者 |
宇野 耕治(京都第二赤十字病院・消化器科), 安田 健治朗(京都第二赤十字病院・消化器科) |
抄録 |
【目的】内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)は、胆管結石に対する治療法として有用な手技であるが、切石後の再発例もしばしば経験される。EST後の長期成績について検討した。【方法】1980年から2010年までに当院で胆管結石に対してESTを施行した1515例のうち、切石不能例を除外し、6ヵ月以上経過観察し得た978例(有石胆嚢636例、無石胆嚢197例、胆嚢摘出後145例)を対象とした。平均年齢66.9歳、男性/女性502/476例で、観察期間中央値は1789日(183-10150日)であった。EST後の胆管結石再発と胆嚢炎をretrospectiveに検討し、胆嚢結石やEST後の胆嚢摘出の有無で分類して比較検討した。【成績】胆管結石再発は193/978例(19.7%)にみられ、再発までの期間の中央値は697日であった。有石胆嚢摘出群の結石再発は38/356例(10.7%)、有石胆嚢温存群は81/280例(28.9%)、無石胆嚢温存群は35/175例(20.0%)、胆嚢摘出後群は37/145例(25.5%)であった。有石胆嚢摘出群はその他の群と比較して再発率が有意に低かった(各々p<0.01)。有石胆嚢温存群は無石胆嚢温存群と比して再発率が有意に高かった(p=0.032)。無石胆嚢温存群と胆嚢摘出後群では再発率に差がなかった(p=0.239)。各群の結石再発までの期間の中央値は、有石胆嚢摘出群964日、有石胆嚢温存群569日、無石胆嚢温存群1165日、胆摘後群625日であった。胆嚢炎は胆嚢を温存した455例中39例(8.6%)で発症し、有石胆嚢群では28/280例(10.0%)、無石胆嚢群では11/175例(6.3%)でみられ、両群間に差はなかった(p=0.169)。【結論】EST後に有石胆嚢を摘出することで胆管結石再発率が低下するが、これは胆嚢からの落下結石による影響が大きいと考えられた。有石胆嚢例ではEST後の胆嚢摘出が望ましいが、胆嚢を温存した場合でも結石再発までの期間は比較的長期であり、胆嚢炎の発症にも差がないため、高齢者や併存疾患を有する症例では、保存的に経過観察することも有用と考える。 |
索引用語 |
胆管結石, EST |