セッション情報 一般演題

タイトル 62:

カンジダ血症と肝機能障害を伴った好酸球増多症の一例

演者 三好 謙一(鳥取大学 医学部 機能病態内科学)
共同演者 孝田 雅彦(鳥取大学 医学部 機能病態内科学), 岡本 敏明(鳥取大学 医学部 機能病態内科学), 程塚 正則(鳥取大学 医学部 機能病態内科学), 木科 学(鳥取大学 医学部 機能病態内科学), 藤瀬 幸(鳥取大学 医学部 機能病態内科学), 徳永 志保(鳥取大学 医学部 機能病態内科学), 杉原 誉明(鳥取大学 医学部 機能病態内科学), 岡野 淳一(鳥取大学 医学部 機能病態内科学), 村脇 義和(鳥取大学 医学部 機能病態内科学)
抄録 症例は40代男性、38.7℃を超える弛張熱、全身倦怠感、腹部膨満感を主訴に近医を受診し、白血球増加及び肝障害を認めたため他院へ紹介となった。CT及びMRIで肝腫大以外に特記所見を認めなかったが、白血球39500、好酸球63.3%と著明な好酸球増多を認めたため当院入院となった。T-Bil 0.6、AST39、ALT79、γ-GTP336、ALP1897と胆道系優位の肝障害を認めた。骨髄検査では好酸球が50%以上と増加を認めたが悪性細胞は認めず、FIP1L1-PDGFRαキメラ遺伝子も検出しなかった。肝生検では著明な好酸球浸潤を認めたが、軽度の線維化を認めるものの炎症所見や胆汁うっ滞等の異常は認めなかった。血液培養ではcandida parapsilosisを検出したが、心エコーでは疣贅や心室内血栓を認めなかった。β-Dグルカンやカンジダマンナン抗原は陰性であり、眼内炎の所見も認めず、上部消化管内視鏡検査でも非特異的な炎症所見のみであり、消化管カンジダは認めなかった。全身CTでは縦隔リンパ節の腫大を認めたものの、肺病変は認めなかった。寄生虫検査は陰性であった。
好酸球増多を示す病態として寄生虫疾患、アレルギー疾患、PIE症候群等の呼吸器疾患、Churg-Strauss症候群等の血管炎、悪性疾患等が挙げられるが、本症例は合致しなかった。カンジダ血症の危険因子となる長期の抗菌薬投与やカテーテル留置、HIV等による易感染性の所見はなく、カンジダ血症と好酸球増多症との関連も明らかでない。好酸球増多症に対してはステロイド、カンジダ血症に対しては抗真菌剤の投与を開始し、急速に好酸球の減少を認めた。一方candida parapsilosisは治療にも関わらず依然として血液培養陽性が続いている。治療経過とともに、カンジダ血症と好酸球増多症の関連につき文献を含めて報告する。
索引用語 好酸球, カンジダ