セッション情報 | 中国支部専修医奨励賞(卒後3-5年迄) |
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タイトル | SR01:診断に苦慮した多臓器転移を伴う肝血管肉腫の1例 |
演者 | 森尾 慶子(山陰労災病院消化器内科) |
共同演者 | 神戸 貴雅(山陰労災病院消化器内科), 岸本 幸廣(山陰労災病院消化器内科), 角田 宏明(山陰労災病院消化器内科), 向山 智之(山陰労災病院消化器内科), 西向 栄治(山陰労災病院消化器内科), 前田 直人(山陰労災病院消化器内科), 謝花 典子(山陰労災病院消化器内科), 古城 治彦(山陰労災病院消化器内科), 井隼 孝司(同 放射線科), 大内 泰文(同 放射線科), 小谷 美香(同 放射線科), 庄盛 浩平(同 病理部) |
抄録 | 【症例】40歳代女性。【主訴】呼吸苦、背部痛、右季肋部痛。【既往歴】20歳代時:不妊症(ホルモン治療)、30歳時:早期閉経、高血圧、40歳時:食道静脈瘤破裂、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)。【家族歴】兄・妹:小児期死亡。【生活歴】飲酒なし、喫煙なし【現病歴】2010年1月よりNAFLDの経過観察のため外来通院していた。2012年4月、造影CTにて早期~後期に濃染する肝内多発結節を指摘され、肝腫瘍生検では悪性所見は認めず限局性の脂肪肝と診断された。2012年7月、突然の呼吸苦、背部痛、右季肋部痛を発症し救急外来を受診、緊急入院となった。【現症】体温37.5 ℃、血圧97/63 mmHg、脈拍111 /分、SpO2 97%(room air)、顔面蒼白、胸部異常なし、右季肋部圧痛あり、腹部緊満なし、四肢冷感あり。【来院時検査成績】WBC 6600 /μL、Hb 8.4 g/dL、PLT 78000 /μL、AST 55 IU/L、ALT 30IU/L、LDH 461 IU/L、ALP 596 IU/L、γGTP 62 IU/L、T-bil 1.5 mg/dL、BUN 20.3 mg/dL、Cr 1.23 mg/dL 、CRP 1.33 mg/dL、AFP 2 ng/mL、PIVKAII 20 mAU/mL 、CA19-9 14 U/mL。【画像所見】肝両葉の大小不同の多発結節は、CTでは高~低吸収域を呈し、MRIではT1強調で低信号、T2強調で高信号を呈していた。また総胆管内に出血を疑う所見を認めた。【経過】以上の血液生化学検査・画像所見より肝細胞腺腫、肝血管肉腫等を疑うも確定診断に至らず、治療については肝移植も検討したが、22病日、肺胞出血を併発。更に肝・腎不全が急激に進行したためCHDF、血漿交換等で集中治療を行った。しかし32病日に意識レベル低下、頭部CTにて多発脳出血を認め、33病日永眠された。剖検では肝血管肉腫(心・肺・脳転移)と診断された。【考察】肝血管肉腫は肝原発悪性腫瘍の中で非常に稀な疾患である。予後は極めて不良であり、画像上多彩な所見を呈するため生前診断も困難であることが多い。今回我々は生前に診断に至らず剖検にて判明した多臓器転移を伴う肝血管肉腫の一例を経験したので報告する。 |
索引用語 | 肝血管肉腫, 多臓器転移 |