セッション情報 一般演題

タイトル 14:

確定診断困難であった退形成性膵管癌の1剖検例

演者 上野 慎士(岡山済生会総合病院 内科)
共同演者 齋藤 玄哲(岡山済生会総合病院 内科), 藤井 雅邦(岡山済生会総合病院 内科), 河原 聡一郎(岡山済生会総合病院 内科), 岡本 雄貴(岡山済生会総合病院 内科), 石原 裕基(岡山済生会総合病院 内科), 足立 卓哉(岡山済生会総合病院 内科), 關 杏奈(岡山済生会総合病院 内科), 金藤 光博(岡山済生会総合病院 内科), 村上 尚子(岡山済生会総合病院 内科), 伊藤 守(岡山済生会総合病院 内科), 石山 修平(岡山済生会総合病院 内科), 川上 万里(岡山済生会総合病院 内科), 藤原 明子(岡山済生会総合病院 内科), 藤岡 真一(岡山済生会総合病院 内科), 大澤 俊哉(岡山済生会総合病院 内科), 吉岡 正雄(岡山済生会総合病院 内科), 塩出 純二(岡山済生会総合病院 内科), 糸島 達也(岡山済生会総合病院 内科)
抄録 症例は50歳代女性。検診にて胃体部前壁に隆起性病変を指摘され当院受診となる。上部消化管内視鏡検査にては胃体部後壁に壁外圧迫像を認め、単純CTにて膵体尾部に腫瘍を認め精査入院となる。造影CTにては膵体尾部に76mmの不整形の腫瘍を認め漸増性の造影効果を認め、肝、リンパ節に多発の転移巣を認めた。血液検査では白血球増加、CRP上昇など炎症所見を認めたが、CA19-9やDUPAN-2などの腫瘍マーカーの上昇は認められなかった。確定診断目的にEUS-FNAを施行したところ、細胞診はClassVで低分化型腺癌が疑われたが、細胞診はClassIIで確定診断に至らなかった。細胞診の結果より膵癌(低分化型腺癌)、多発肝、リンパ節転移と考え、抗癌剤投与の適応と考え、本人家族に病状説明の上塩酸ゲムシダビン(GEM)投与を開始した。外来にて化学療法を継続しGEM5クール施行したが、病状進行し胃への直接浸潤部からの出血にともなう下血で入院となった。入院後脳転移を合併するなどして全身状態増悪し、初診から約4か月の経過で死亡した。剖検を施行したところ膵体尾部腫瘍は内部に出血壊死を伴い、組織像より退形成性膵管癌と診断した。また、胃に直接浸潤しており、後腹膜、肝臓、両肺、心筋、両腎、大脳小脳などに多発の転移巣を認めた。退形成性膵管癌はまれな組織型であり、膵外進展しやすく腫瘍浸潤による消化管出血などを引き起こしやすいといわれている。また遠隔転移をきたしやすく予後が非常に悪いとされている。今回我々は退形成性膵管癌の1剖検例を経験したため、文献的考察を添えて報告する。
索引用語 膵癌, 退形成性膵管癌