セッション情報 中国支部研修医奨励賞(卒後2年目迄)

タイトル JR13:

胆道出血を契機に発見された膵動静脈奇形の1例

演者 里見 拓也(福山市民病院)
共同演者 友田 健(福山市民病院), 植木 亨(福山市民病院), 齊藤 俊介(福山市民病院), 藤澤 智雄(福山市民病院), 名和 徹(福山市民病院), 坂口 孝作(福山市民病院), 宇賀 麻由(福山市民病院), 兵頭 剛(福山市民病院), 門田 一晃(福山市民病院), 日置 勝義(福山市民病院), 高倉 範尚(福山市民病院)
抄録 【症例】60代男性【主訴】腹痛、嘔吐【現病歴】20XX年8月8日に腹痛、嘔吐が出現し前医を受診。腹部単純CTにて胆嚢、総胆管内に高吸収域を認めたため、胆嚢結石、総胆管結石が疑われ精査加療目的に8月16日当院紹介となった。【経過】腹部ダイナミックCT施行したところ、動脈相にて膵頭体部に集簇した血管と思われる濃染と門脈の描出を認めたことから膵動静脈奇形(以下、膵AVM)が疑われた。また胆嚢、総胆管には前医で指摘された高吸収域は消失しており、胆嚢内は全体に吸収値の上昇を認めていたことから、膵AVMの胆道穿破による胆道出血が疑われた。そこで精査目的に血管造影検査を施行したところ、上腸間膜動脈と腹腔動脈造影にて、膵頭部に叢状血管を介して連続する複数本の流入動脈と流出動脈が描出され、門脈の早期描出を認めた。主の栄養血管は背側膵動脈と考えられた。また、脾動脈造影で脾腎シャントの描出を認め、門脈血流増大に伴う門脈圧亢進症を来たしていた。以上の所見より膵AVMと診断され、8月20日、亜全胃温存膵頭十二指腸切除術が施行された。【考察】膵AVMは稀な疾患であり、これまでに60例余りの症例報告があるのみである。発見契機としては、消化管出血や潰瘍が多いが、無症状で発見された報告もある。前医CTで認められた総胆管の高吸収域は、膵AVMによる胆道出血であった可能性が高いと考えられた。本症例のように、膵AVMが胆道出血を契機に発見された例は稀であり、貴重な症例と考え文献的考察を加えて報告する。
索引用語 膵動静脈奇形, 胆道出血