セッション情報 | 一般演題 |
---|---|
タイトル | 61:テラプレビル3剤併用療法中に敗血症を生じた1症例 |
演者 | 内田 靖(松江赤十字病院 消化器内科) |
共同演者 | 板倉 由幸(松江赤十字病院 消化器内科), 山本 悦孝(松江赤十字病院 消化器内科), 山下 詔嗣(松江赤十字病院 消化器内科), 原田 恵理奈(松江赤十字病院 消化器内科), 花岡 拓哉(松江赤十字病院 消化器内科), 實藤 宏美(松江赤十字病院 消化器内科), 千貫 大介(松江赤十字病院 消化器内科), 串山 義則(松江赤十字病院 消化器内科), 香川 幸司(松江赤十字病院 消化器内科) |
抄録 | 2011年11月28日よりC型慢性肝炎に対しテラプレビルが使用可能となり,インターフェロン治療成績は有意に向上した.しかし,3剤併用療法を受けた9,941症例中,敗血症を含む重篤な感染症が85症例も報告され(2013年4月30日現在),特に敗血症を生じた17例中9例が経口ステロイドを使用していたことから,その適正使用に注意喚起がなされている.今回我々は,テラプレビル3剤併用療法中に経口ステロイドを使用,敗血症から腸腰筋膿瘍および感染性動脈瘤を合併した1例を経験したので報告する.症例は50歳,男性.2012年X月にC型慢性肝炎治療目的に当院紹介となる.合併症として高血圧,糖尿病,心房細動,閉塞性血栓血管炎があり,抗凝固ならびにインシュリン治療中であった.ハイリスク症例のため十分なインフォームド・コンセントのもと,3剤併用療法を導入した.しかし,治療開始6週目に体幹を中心にグレード3の紅斑が出現.テラプレビルによる重症薬疹と判断しステロイド投与,紅斑は消失したが,9週目に39度を越える発熱を認めた.直ちに3剤併用療法を中止,血液培養にてMSSAを確認,敗血症として入院となる.MRIにて腸腰筋膿瘍が認められたが,自己血糖測定を行っていた左母指に化膿傷が確認され,同部からの感染と推察した.抗菌剤投与にて発熱は改善したが,第10病日突然激しい左腰背部痛が出現,CTにて左総腸骨動脈瘤破裂が確認され,直ちに緊急手術を行った.MRI撮影時には左総腸骨動脈の径に異常なく,短期間で増大した腸腰筋膿瘍に伴う感染性動脈瘤と判断した.感染性動脈瘤は敗血症により形成される比較的稀な動脈瘤であり,非感染性動脈瘤に比し破裂の可能性が高い.腸腰筋膿瘍に伴う感染性動脈瘤は全感染性動脈瘤の約4%と稀であり,感染が制御されない場合,術後の人工血管感染をきたす危険性が高く,致死率の高い疾患である. |
索引用語 | 3剤併用療法, 敗血症 |