セッション情報 | 中国支部研修医奨励賞(卒後2年目迄) |
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タイトル | 26:胆嚢穿孔を伴う壊疽性胆嚢炎で発症した胆嚢管癌の1例 |
演者 | 和田 あずさ(広島県厚生農業協同組合連合会 尾道総合病院 消化器内科) |
共同演者 | 寺岡 雄吏(広島県厚生農業協同組合連合会 尾道総合病院 消化器内科), 天野 美緒(広島県厚生農業協同組合連合会 尾道総合病院 消化器内科), 今川 宏樹(広島県厚生農業協同組合連合会 尾道総合病院 消化器内科), 片村 嘉男(広島県厚生農業協同組合連合会 尾道総合病院 消化器内科), 新里 雅人(広島県厚生農業協同組合連合会 尾道総合病院 消化器内科), 福本 晃(広島県厚生農業協同組合連合会 尾道総合病院 消化器内科), 飯星 知博 (広島県厚生農業協同組合連合会 尾道総合病院 消化器内科), 小野川 靖二(広島県厚生農業協同組合連合会 尾道総合病院 消化器内科), 平野 巨通(広島県厚生農業協同組合連合会 尾道総合病院 消化器内科), 花田 敬士(広島県厚生農業協同組合連合会 尾道総合病院 消化器内科), 天野 始(広島県厚生農業協同組合連合会 尾道総合病院 消化器内科), 日野 文明(広島県厚生農業協同組合連合会 尾道総合病院 消化器内科), 中原 雅浩(広島県厚生農業協同組合連合会 尾道総合病院 外科), 米原 修治(広島県厚生農業協同組合連合会 尾道総合病院 病理検査科) |
抄録 | 【症例】90歳代、男性。【主訴】嘔吐、下腹部痛、発熱。【既往歴】虫垂炎、慢性心不全、前立腺肥大症。【現病歴】2013年3月、突然嘔吐と下腹部痛が出現し、近医を受診した。急性胆嚢炎が疑われ当院紹介受診となった。【入院時現症】体温37.7℃、血圧135/91mmHg。腹部は板状硬で反跳痛を認め、Murphy sign陽性であった。【入院後経過】腹部USでは、胆嚢壁肥厚と内部に胆泥を認めた。また、胆嚢内腔は頸部からフラスコ状に急峻な狭窄像を呈していた。腹部CTでは、US所見に加え、胆嚢底部の壁の連続性が消失し、胆嚢周囲のfluidの貯留を認めた。MRCPでは、胆嚢周囲にPericholecystic high signalがみられた。総胆管や肝内胆管に明らかな結石や腫瘤像は認めなかった。以上より、無石性の急性胆嚢炎と診断。穿孔の可能性も示唆されたため、入院同日、緊急開腹胆嚢摘出術を施行した。【術中所見】胆嚢は腫大し、広範にわたって壊死を呈していた。腹腔内は胆汁性の汚染腹水を認め、胆汁性腹膜炎をきたしていた。汚染腹水を吸引後、胆嚢管を処理し胆嚢を摘出、腹腔内を洗浄し手術を終了した。【病理組織検査】胆嚢はびまん性に壁肥厚が見られ、一部は虚血性壊死を呈していた。明らかな結石は見られなかったが、胆嚢管は白色調で内腔は狭窄していた。胆嚢管の腺管細胞は、N/C比が高く、核が偏在した腫瘍細胞に置換されており、固有筋層を超えて漿膜へ浸潤していた。病理診断はpapillary adenocarcinomaであった。術後経過は良好であり、第17病日に軽快退院となった。高齢であるため追加治療は希望されなかった。【考察】急性胆嚢炎で発症した胆嚢管癌の1例を経験した。無石胆嚢炎の症例において、胆嚢癌を合併する頻度は1~1.5%とされている。本症例のように胆嚢管癌により、胆嚢穿孔を伴う壊疽性胆嚢炎を発症したという報告は我々が検索した範囲ではみられない。しかしながら、急性胆嚢炎の発症の要因として、胆嚢管癌などの悪性腫瘍の存在も念頭に置く必要があると考えられた。若干の文献学的考察を含め報告する。 |
索引用語 | 胆嚢管癌, 壊疽性胆嚢炎 |