セッション情報 一般演題

タイトル 06:

胃glomus腫瘍の1例

演者 村脇 義之(松江市立病院 消化器内科)
共同演者 杉原 誉明(松江市立病院 消化器内科DELIMITER鳥取大学 機能病態内科), 三浦 将彦(松江市立病院 消化器内科), 上田 直樹(松江市立病院 消化器内科), 石飛 ひとみ(松江市立病院 消化器内科), 加藤 順(松江市立病院 消化器内科), 谷村 隆志(松江市立病院 消化器内科), 河野 通盛(松江市立病院 消化器内科), 吉村 禎二(松江市立病院 消化器内科), 山田 稔(松江市立病院 総合診療科), 梶谷 真司(松江市立病院 消化器外科), 吉田 学(松江市立病院 臨床検査科)
抄録 glomus腫瘍は毛細血管の先端にある動静脈吻合叢の神経筋性装置(glomus体)に由来する有痛性腫瘍として四肢末端の皮下に生じることが多いが,まれに胃に発生する.今回,腹腔鏡下胃局所切除を行い確定診断した胃glomus腫瘍を経験した.【症例】40歳,女性.【既往歴,家族歴】特記事項なし.【現病歴】2012年9月検診目的の上部消化管内視鏡検査で胃体部大彎後壁に10mm大の胃粘膜下腫瘍を指摘された.【画像検査】胃粘膜下腫瘍は,体外式超音波検査で第3-4層由来の固有筋層と比較してやや高エコーを呈する類円形の腫瘤として描出された.造影CT検査では,動脈相から強く濃染し,遅延相まで造影効果が遷延する境界明瞭な10mmの腫瘍性病変であることが確認された.【臨床経過】GISTを鑑別の念頭に20mm以下の胃粘膜下腫瘍として経過観察の方針としたが,本人の切除希望があり2013年4月に腹腔鏡下胃局所切除を施行した.切除病変は筋層内に局在した10mmの充実性腫瘍であった.組織学的には拡張した血管腔の周囲に索状に配列し増生する腫瘍で,免疫染色でα-smooth muscle actin 陽性より胃glomus腫瘍と確定診断した.胃glomus腫瘍は少ないながら悪性化の報告が知られているが,本例はあきらかな異型や核分裂像の増加はみられず,悪性を示唆する所見は認めなかった.【考察】本疾患はまれな腫瘍であり,組織診断以外に術前診断が困難な場合が多い.胃glomus腫瘍は過去の報告例によると,超音波検査で第4層内に固有筋層よりも高エコーの類円形腫瘤として描出され,造影CT検査において動脈相から強く濃染する多血管性腫瘍である.本疾患の特徴を知っていれば,胃glomus腫瘍の典型例として術前に鑑別疾患に挙げられた可能性があった.
索引用語 胃glomus腫瘍, 粘膜下腫瘍