セッション情報 シンポジウム1「肥満と消化器疾患の関わり」

タイトル S1-07:

NASH症例における肝線維化と動脈硬化との関係について

演者 飛田  博史(島根大学 医学部 肝臓内科)
共同演者 佐藤 秀一(島根大学 医学部 肝臓内科DELIMITER島根大学 医学部 光学医療診療部), 齋藤 宰(島根大学 医学部 肝臓内科), 三宅 達也(島根大学 医学部 肝臓内科), 木下 芳一(島根大学 医学部 内科学講座第二)
抄録 【目的】NASH症例における肝線維化と動脈硬化の程度との関連について検討することを目的とした。【方法】2006年1月から2013年8月までに当院で病理組織学的にNASHと診断された82症例のうち、baPWV検査を施行した42症例(年齢中央値58歳(31-80歳)、BMI中央値27.5(19.7-47.7)、男性22人)を対象とした。NASH Single Topic Conference(NSTC)による分類に基づいた線維化の程度(stage1-3)と各種因子(年齢、動脈硬化関連因子(baPWV、ABI、IMT)HA、BMI、腹囲、糖脂質関連因子、肝機能関連因子、ferritin、PLT、CRP、eGFR、メタボリックシンドローム合併の有無、糖尿病合併の有無、高LDL血症合併の有無、性別、NSTCによる分類に基づいたgrade1-3、NAFLD Activity Score、脂肪沈着の程度、小葉の細胞浸潤の程度、肝細胞のballooning変性の程度)との関連について検討した。統計学的検定は単回帰分析、重回帰分析、χ2乗検定、Mann-Whitney U testで行った。P<0.05を統計学的有意とした。【成績】Stageと関連する因子は、PT(P<0.01)、PLT(P=0.03)とALB(P=0.03)であった。HA(P=0.06)とbaPWV(P=0.05)はstageと関連する傾向を認めたが、stageと年齢との関連は認めなかった(P=0.117)。PT、PLT、ALBを用いて重回帰分析を行ったところ、PT(P=0.02)のみがstageと有意な因子であった。各stage(stage1:17症例、stage2:18症例、stage3:7症例)間で各種因子を比較したところ、年齢に有意な差は認めなかったが、baPWV(stage1:14.1±2.1 m/s、stage2:14.0±2.9 m/s、stage3:17.0±2.5 m/s(平均値±SD))はstage2と3(P=0.018)、stage1と3(P=0.011)、HAはstage1と2(P=0.039)、stage2と3(P=0.034)、stage1と3(P=0.001)、PTはstage1と2(P=0.019)、stage1と3(P=0.005)、ALBはstage1と3(P=0.048)で有意差を認めた。【結論】NASH症例の肝線維化(stage)と年齢に関連はなかったが、stageとbaPWVは関連する傾向を認めた。また、stage間で年齢に有意差を認めなかったが、baPWVに有意差を認め、stage3では動脈硬化の進展を認めた。
索引用語 NASH, 動脈硬化