セッション情報 一般演題

タイトル 17:

自己免疫性膵炎(AIP)合併の有無によるIgG4関連硬化性胆管炎(IgG4SC)臨床像についての検討

演者 堀口 繁(岡山大学病院 消化器内科)
共同演者 加藤 博也(岡山大学病院 消化器内科), 室 信一郎(岡山大学病院 消化器内科), 野間 康宏(岡山大学病院 消化器内科), 山本 直樹(岡山大学病院 消化器内科), 原田 亮(岡山大学病院 消化器内科), 堤 康一郎(岡山大学病院 消化器内科), 友田 健(福山市民病院 消化器内科), 植木 亨(福山市民病院 消化器内科), 岡田 裕之(岡山大学病院 光学医療診療部), 山本 和秀(岡山大学病院 消化器内科)
抄録 【背景・目的】IgG4関連硬化性胆管炎(IgG4SC)は自己免疫性膵炎(AIP)と合併することが多い。一方でAIP非合併IgG4SCも少数ながら認められるが、AIP合併の有無によるIgG4SCの臨床像の違いについての検討例は少ない。今回、当院及び関連病院におけるAIP合併及び非合併IgG4SC症例について検討したので報告する。【方法】岡山大学病院及び福山市民病院にて診断したIgG4SC24例をAIP合併19例と非合併例5例に分けて臨床的特徴を検討した。AIPは日本膵臓学会・厚生労働省研究班による2011年診断基準に、IgG4SCは日本胆道学会・厚生労働省研究班による2012年診断基準に基づき診断した。血液検査は初診時のデータを用いて肝胆道系酵素、HbA1c、免疫γグロブリン値を検討し、胆管像は全例内視鏡的逆行性胆管造影(ERC)にて評価した。【成績】有症状症例はAIP合併例13人(68%)、非合併症例1例(20%)であり、AIP合併例で有意に有症状例が多かった(p=0.048)。AIP合併例における症状は心窩部痛8例(62%)、黄疸3例(23%)、急性膵炎2例(15%)であり、非合併例の症状は心窩部痛であった。血液検査では両群で肝胆道系酵素、免疫グロブリン値に明らかな差は認められなかったが、AIP合併例でHbA1cが有意に高く(6.5% vs 5.2% p=0.023)、併存する膵疾患による影響が考えられた。胆管病変はAIP合併群19例で26病変、AIP非合併群5人で6病変であった。中下部病変はAIP合併群26病変中23病変(88%)、非合併群で6病変中4病変(66%)であり、また肝門部及び肝内胆管病変は合併群で2病変(8%)、非合併群で2病変(33%)と合併例では中下部病変が多く、非合併例では肝内・肝門病変が多い傾向にあった(p=0.09)。【考察】今回の検討ではIgG4SCはAIP合併、非合併症例において肝胆道系酵素や免疫グロブリン値に違いは認められなかったものの、併存する膵疾患による心窩部痛などの腹部症状やHbA1c値において違いが認められた。胆管像においてはAIP非合併群で肝内・肝門部病変が多い傾向が認められたものの、いまだ症例数が少ないため更に症例数を蓄積していく必要があると考えられた。
索引用語 自己免疫性膵炎, IgG4関連硬化性胆管炎