セッション情報 | 一般演題 |
---|---|
タイトル | 48:外科的切除に至った特発性腸間膜静脈硬化症の1例 |
演者 | 柴田 大明(山口大学大学院 医学系研究科 消化器病態内科学) |
共同演者 | 西川 潤(山口大学大学院 医学系研究科 消化器病態内科学), 白澤 友宏(山口大学大学院 医学系研究科 消化器病態内科学), 横田 恭之(山口大学大学院 医学系研究科 消化器病態内科学), 中村 宗剛(山口大学大学院 医学系研究科 消化器病態内科学), 西村 純一(山口大学大学院 医学系研究科 消化器病態内科学), 金山 郷子(山口大学大学院 医学系研究科 消化器病態内科学), 橋本 真一(山口大学大学院 医学系研究科 消化器病態内科学), 岡本 健志(山口大学大学院 医学系研究科 消化器病態内科学), 硲 彰一(山口大学大学院 医学系研究科 消化器腫瘍外科学), 岡 正朗(山口大学大学院 医学系研究科 消化器腫瘍外科学) |
抄録 | 症例:70歳代女性。現病歴: 2型糖尿病、高血圧、脂質異常症のため近医にて内服加療をされていた。200X年1月末頃から右下腹部痛が出現し、2日後に近医を受診した。右下腹部に腹膜刺激症状を伴う圧痛を認め、腹部単純CTで右下腹部腸管壁肥厚・その周囲血管の石灰化を認めた。 WBC5600/μl、CRP0.33mg/dlと炎症反応は軽度であったため、1週間後に当科へ紹介となった。初診時現症:眼瞼結膜貧血なし、眼球結膜黄染なし、胸部:肺音清、心雑音(-)、腹部:平坦・軟、右下腹部に軽度圧痛を認めたが反跳痛はなし。虫垂切除の手術痕を認めた。腸蠕動音亢進減弱なし。四肢浮腫なし。血液検査所見:WBC5350/μL、RBC311 /μL、Hb10.0 g/dL、Ht29.8 %、Plt20.5 万/L、TP7.1 g/dL、Alb3.8 g/dL、AST30 IU/L、ALT27 IU/L、BUN15 mg/dL、Cr0.79 mg/dL、Na141 meq/L、K5.3 meq/L、CL105 meq/L、CRP0.14 mg/dL。腹部造影CT 所見:盲腸~右半結腸に著明な壁肥厚あり。腸管壁に沿った血管内に石灰化を認め、同血管は上腸間膜静脈に連続しており、静脈内の石灰化を認めた。症状は改善しており、発症より1ヶ月後に下部消化管内視鏡検査を施行した。大腸内視鏡所見では、盲腸~上行結腸粘膜は浮腫状かつ青色調。盲腸に厚い白苔に覆われた潰瘍を認めた。肝彎曲から徐々に通常粘膜に移行していき、肛門側結腸には異常所見を認めなかった。以上より、特発性腸間膜静脈硬化症と診断した。発症から1ヶ月経過しても治癒を認めない潰瘍が存在しており、外科的に腸管切除を行なった。病理組織学的所見では、粘膜下層を中心に全層の静脈に線維性壁肥厚・内腔の拡張を認め、一部、血管壁結節状壁肥厚を認めた。治療後は再燃なく経過している。考察:特発性腸間膜静脈硬化症は1991年に小山らが最初に報告し、日本人を中心にアジア人のみで報告される希な疾患である。その頻度、病因、予後などはまだ明らかにされておらず、若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 特発性腸間膜静脈硬化症, 手術 |