セッション情報 中国支部研修医奨励賞(卒後2年目迄)

タイトル JR15:

IFN単独療法後再燃し、Peg-IFN+RBV併用療法にてSVRとなったGenotype3b型C型慢性肝炎の1例

演者 松浦 桂司(山口大学医学部附属病院 卒後臨床研修センター)
共同演者 佐伯 一成(山口大学医学部附属病院 検査部), 日高 勲(山口大学医学部附属病院 肝疾患センター), 岩本 拓也(山口大学大学院医学系研究科 消化器病態内科学), 浦田 洋平(山口大学大学院医学系研究科 消化器病態内科学), 丸本 芳雄(山口大学大学院医学系研究科 消化器病態内科学), 石川 剛(山口大学大学院医学系研究科 消化器病態内科学), 高見 太郎(山口大学大学院医学系研究科 消化器病態内科学), 内田 耕一(山口大学大学院医学系研究科 消化器病態内科学), 寺井 崇二(山口大学大学院医学系研究科 消化器病態内科学), 山崎 隆弘(山口大学医学部附属病院 光学診療部), 坂井田 功(山口大学大学院医学系研究科 消化器病態内科学)
抄録 【はじめに】本邦におけるGenotype3型のC型慢性肝炎の症例数は少なく、その治療法についても確立されていない。今回我々は、genotype3b型、高ウイルス量に対し、Peg-IFN+RBV併用療法24週投与により、SVRを得られた症例を経験した。【症例】50歳代、女性。199X年、妊娠時にHCV抗体陽性を指摘された。4年後、transaminaseの上昇を認め、当科紹介受診となり、精査にてC型慢性肝炎genotype3b型、高ウイルス量、肝生検F2/A3と診断された。その後IFN-β24週間投与を行い、治療中HCV-RNA陰性化認めたものの、治療後2か月目に再燃を認めた。Transaminase正常であったため、経過観察となり、受診中断していた。201Y年、再びtransaminaseの上昇を認め、当科再受診となった。HCV-RNA量は6.5 logIU/mlと高ウイルス量であった。肝生検を施行したところ、F2/A2であり、前回と比較して線維化の進展は認めなかったが、脂肪沈着を伴っていた。Peg-IFN+RBV併用療法による治療を行うこととし、治療期間は24週とした。治療4週後にHCV-RNA陰性化は得られなかったが、8週後には陰性化を認め、SVRが得られた。SVR後の肝生検では線維化の改善とともに脂肪沈着の改善も認めた。【考察】Genotype3型はIFNの感受性は比較的良好とされ、海外ではPeg-IFN+RBV併用療法24週投与が標準的治療となっており、そのSVR率は約70%とされている。しかし、本邦ではGenotype3型の症例は少なく、確立された治療法はない。Genotype3型においても治療4週後HCV-RNA陰性化(RVR)が得られた症例ではSVR率は高いとされている。本症例はRVRが得られなかったものの、前治療歴があり、IFN単独療法中にウイルス陰性化を認めており、IFN感受性は高いと判断し、24週投与とした。【結語】Genotype3bのC型慢性肝炎の症例は非常に稀である。本性例はPeg-IFN+RBV併用療法24週投与でSVRが得られた症例であり、今後、Genotype3型に対する治療方針を決定する上で、示唆に富むと考えられた。
索引用語 C型慢性肝炎, Genotype3型