セッション情報 中国支部専修医奨励賞(卒後3-5年迄)

タイトル SR18:

Trousseau症候群を契機として診断された胃癌の1例

演者 中村 真也(市立三次中央病院 消化器内科)
共同演者 向井 伸一(市立三次中央病院 消化器内科), 林 花林(市立三次中央病院 消化器内科), 阿座上 隆弘(市立三次中央病院 消化器内科), 高場 敦久(市立三次中央病院 消化器内科), 趙 成大(市立三次中央病院 消化器内科), 濱田 敏秀(市立三次中央病院 消化器内科), 平田 研(市立三次中央病院 消化器内科), 中西 敏夫(市立三次中央病院 消化器内科)
抄録 【症例】75歳、女性【既往歴】胆石症、急性膵炎【家族歴】特記事項なし【現病歴】X年12月3日、構音障害、左上下肢の脱力を主訴に近医を受診した。12月6日脳血管障害が疑われ精査目的に当院脳神経外科を紹介受診した。頭部CT、MRIによる検査の結果両側小脳、両側大脳に散在性に梗塞像を認めたため加療目的に同日脳神経外科に入院した。【経過】散在性脳梗塞に対して心原性脳塞栓症が疑われ、未分画ヘパリン、ワルファリンカリウム、エダラボンによる加療が開始となった。また入院後の血液生化学検査でDICと診断されアンチトロンビンIIIなどによる加療がなされた。12月10日血液検査上DICは改善しており、全身状態も落ち着いていたためヘパリン、ワルファリンカリウムともに中止の上でリハビリを開始した。12月14日、入浴後に突然の意識障害が出現し検査を実施したところ、頭部MRI上両側小脳や左前頭葉に脳梗塞の再発を認め、血液検査上もDICが再燃していた。経過からTrousseau症候群が疑われ12月18日当科に紹介となった。全身検索を行ったところCTで胃体部の壁肥厚、傍大動脈リンパ節の腫大を認め、上部消化管内視鏡検査で胃体上部、5型の進行胃癌と診断した。【結語】Trousseau症候群は潜在性の悪性腫瘍の遠隔効果により神経症状を生じる傍腫瘍症候群の1つで、悪性腫瘍に伴う慢性DICにより脳卒中症状を生じる病態とされる。比較的稀な症例であり、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 Trousseau症候群, 胃癌