セッション情報 中国支部専修医奨励賞(卒後3-5年迄)

タイトル SR20:

AIDS患者に合併したサイトメガロウイルスによる十二指腸乳頭炎の一例

演者 永尾 未怜(山口大学 医学部 消化器病態内科学)
共同演者 岡本 健志(山口大学 医学部 消化器病態内科学), 中村 宗剛(山口大学 医学部 消化器病態内科学), 西村 純一(山口大学 医学部 消化器病態内科学), 横田 恭行(山口大学 医学部 消化器病態内科学), 白澤 友宏(山口大学 医学部 消化器病態内科学), 柴田 大明(山口大学 医学部 消化器病態内科学), 橋本 真一(山口大学 医学部 消化器病態内科学), 西川 潤(山口大学 医学部 消化器病態内科学), 坂井田 功(山口大学 医学部 消化器病態内科学)
抄録 症例は30歳代、男性。200X年4月より咳嗽が出現、5月から発熱、下痢を繰り返すようになり近医受診。肺炎と診断され、前医に入院した。前医での精査の結果、ニューモシスチス肺炎、HIV感染を指摘、AIDSと診断され精査加療目的で7月に当院血液内科に転院となった。転院後も下痢は持続、サイトメガロウイルスpp65抗原(C7-HRP)陽性細胞数12/視野と上昇、CT上小腸・大腸の壁肥厚を認めたため、サイトメガロウイルス腸炎を疑われ、消化管精査目的で当科紹介となった。上部消化管内視鏡検査では、十二指腸乳頭は発赤し長径15ミリ程度に腫大し、表面は凹凸不整で中心部はわずかに陥凹していた。周囲粘膜に内視鏡上明らかな変化は認めなかった。十二指腸乳頭部腫瘍を疑い生検を施行したところ、上皮細胞に異型は認めず、粘膜固有層への形質細胞を主体とした炎症細胞浸潤を認めた。すりガラス状核腫大を呈する細胞が散見され、免疫染色で抗CMV抗体に陽性を示したため、サイトメガロウイルス十二指腸乳頭炎と診断した。なお、下部消化管内視鏡検査では回腸末端、S状結腸の粘膜に浮腫を、回盲弁上に小潰瘍を認め、回腸末端からの生検でサイトメガロウイルス腸炎と診断されている。ガンシクロビルの投与により下痢は軽快した。今回、非常にまれなサイトメガロウイルスによる十二指腸乳頭炎を経験したため、文献的考察も含め報告する。
索引用語 十二指腸乳頭, サイトメガロウイルス