共同演者 |
佐々木 民人(広島大学病院 消化器・代謝内科), 芹川 正浩(広島大学病院 消化器・代謝内科), 南 智之(広島大学病院 消化器・代謝内科), 岡崎 彰仁(広島大学病院 消化器・代謝内科), 行武 正伸(広島大学病院 消化器・代謝内科), 石垣 尚志(広島大学病院 消化器・代謝内科), 石井 康隆(広島大学病院 消化器・代謝内科), 小酒 慶一(広島大学病院 消化器・代謝内科), 毛利 輝生(広島大学病院 消化器・代謝内科), 吉見 聡(広島大学病院 消化器・代謝内科), 壺井 智史(広島大学病院 消化器・代謝内科), 清水 晃典(広島大学病院 消化器・代謝内科), 小刀 崇弘(広島大学病院 消化器・代謝内科), 茶山 一彰(広島大学病院 消化器・代謝内科) |
抄録 |
膵臓のsolid-pseudopapillary neoplasm(以下,SPN)は若年女性に好発し, 画像学的に厚い被膜を有し, 嚢胞成分と充実成分が混在することが特徴的とされている。また比較的予後は良好で低悪性度の腫瘍とされているが, 他臓器転移や局所再発の報告例もあり, 適切な診断・治療が必要とされる。今回我々は過去15年間に経験したSPN 12例について検討した。年齢は14~81歳(中央値38.5歳)で, 男性2例, 女性10例であった。受診の契機は有症状4例, 検診等の画像検査が3例, その他5例であった。腫瘍の存在部位は膵頭部4例, 体部3例, 尾部5例であった。大きさは, 最小のもので8mm, 最大のもので86mmであり平均36.4mmであった 画像検査では, EUS 50.0%, 造影CT 42.8%, MRI 20.0%において術前にSPNの診断が得られた。またPET-CTを施行した5例ではFDGの異常集積を認めた(平均SUVmax 5.2)。組織学的診断目的に, 膵液細胞診を6例に施行したが悪性所見は得られなかった。EUS-FNAを5例に施行し, 全例で腫瘍性病変の診断は可能であったがSPNと診断できたのは2例でその他の3例ではPNETとの鑑別を必要とした。手術標本の所見では, 嚢胞・被膜・石灰化をそれぞれ33.3%, 25.0%, 41.6%で認めた。また血管侵襲3例, リンパ管侵襲を2例, 肝転移を1例で認めた。予後については, 手術例では術後再発を来した症例なく, 原病死に至った症例は肝転移を認めた1例であった。画像診断の進歩に伴い, 小さなSPNも発見されていた。小さなSPNでは嚢胞成分を伴わない例を多く認めた。画像診断はPET-CTの診断能が高く, 組織学的にはEUS-FNAが高い診断能を有していた。 |