セッション情報 中国支部研修医奨励賞(卒後2年目迄)

タイトル JR19:

原発性胆汁性肝硬変の長期経過中に急性肺疾患をきたし,剖検にて診断しえた末梢T細胞リンパ腫の一例

演者 樽本 亮平(鳥取大学医学部附属病院 卒後臨床研修センター)
共同演者 澤田 慎太郎(機能病態内科学), 孝田 雅彦(機能病態内科学), 斧山 巧(機能病態内科学), 川田 壮一郎(機能病態内科学), 山本 宗平(機能病態内科学), 今本 龍(機能病態内科学), 池淵 雄一郎(機能病態内科学), 安部 良(機能病態内科学), 松本 和也(機能病態内科学), 河口 剛一郎(機能病態内科学), 原田 賢一(機能病態内科学), 八島 一夫(機能病態内科学), 村脇 義和(機能病態内科学)
抄録 症例は70代女性.原発性胆汁性肝硬変(PBC:診断より約26年経過)にて,外来投薬加療中であった.PBCの病状自体は急激な進行もなく安定しており,Child Pugh分類Aであった.生活歴や家族歴に特記すべき事項はなかった.黒色便を主訴に外来受診し,上部消化管内視鏡にて食道静脈瘤に白色栓を認め,内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)施行し,同日緊急入院となった.経過中,再度静脈瘤破裂を来したが,再度EVLを行い止血が得られた.また第9病日より熱発・咳漱症状あり,胸部CTにて右上肺野に浸潤影,肺化膿症と診断し,抗生剤投与にて治療行うも治療抵抗性であった.経過中,胸腔穿刺・胸水採取し,死亡直前に腺癌を疑う異型細胞の出現がみられ,肺野は感染症以外の病態も考えられたが,確定診断や有効な治療へは至らなかった.人工呼吸器管理・抗生剤変更にて治療継続するも,肺野浸潤影・呼吸状態はさらに悪化し,全身状態改善なく,第43病日死亡した.病理解剖にて,胸部CT検査でみられた右上肺野に一致して充実性腫瘤を認め,末梢性T細胞リンパ腫(非特異型),びまん性肺胞障害と診断.リンパ腫は胸腔・縦隔・腸間膜リンパ節にまで及んでいた.PBC患者における悪性リンパ腫の罹患率は,約0.6%,T細胞リンパ腫はその中でも稀有だと米国の報告がある.本邦でもPBCとリンパ腫の合併例の報告は少なく,T細胞リンパ腫の報告例も非常に少なく,貴重な一剖検例であると考え,若干の文献的考察を加え報告を行う.
索引用語 原発性胆汁性肝硬変, リンパ腫