セッション情報 一般演題

タイトル 01:

Jackhammer Esophagusの一例

演者 三上 博信(島根大学医学部附属病院 消化器内科)
共同演者 清村 志乃(島根大学医学部附属病院 消化器内科), 沖本 英子(島根大学医学部附属病院 消化器内科), 相見 正史(島根大学医学部附属病院 消化器内科), 宇野 吾一(島根大学医学部附属病院 消化器内科), 大嶋 直樹(島根大学医学部附属病院 消化器内科), 石村 典久(島根大学医学部附属病院 消化器内科), 佐藤 秀一(島根大学医学部附属病院 光学医療診療部), 石原 俊治(島根大学医学部附属病院 消化器内科), 木下 芳一(島根大学 医学部 内科学講座第二)
抄録 【症例】50歳男性【主訴】心窩部痛、嘔気・嘔吐【現病歴】X年8月ごろに心窩部の痛みを自覚するようになった。症状が強く出るのは夕方以降で、食事前に症状が強かった。心窩部痛出現後から痛みとともに嘔気・嘔吐も出現するようになり、食欲不振となった。近医受診し上部消化管内視鏡検査を施行されるも異常は指摘されず、胃薬(詳細不明)を処方されるが症状は改善せず。中核病院を紹介され上部消化管内視鏡検査、CT精査施行されるも異常は指摘されず、近医にて経過を見ていたが、症状の改善が見られないため、同年10月に当院紹介受診となった。【既往歴】小児喘息(発作は最近なし)、肺気腫、32歳時に腸閉塞(保存的加療で改善)【生活歴】喫煙あり、機会飲酒【経過】当院でも上部消化管内視鏡検査を施行したが明らかな異常所見は認められず、食道生検においても好酸球性食道炎は否定的であった。PPIを2週間投与したが効果は乏しく、食道運動異常症を疑い食道内圧検査を施行した。食道運動機能の解析において、平均積算弛緩圧(IRP)は正常値で、遠位潜時(DL)の短縮や無蠕動を認めず、積算遠位収縮(DCI)が15739mmHg-cm-secと著明な高値を認めたため、jackhammer esophagus(JE)と診断した。PPI処方に加えてカルシウム拮抗薬を投与することで、症状は緩和傾向となった。【考察】JEは2009年に提唱されたシカゴ分類において、食道遠位の過剰収縮を特徴とする疾患と分類されている。強い食道の収縮によって嚥下障害だけでなく胸痛や心窩部痛も来すことがある。嚥下障害や非心臓性胸痛を訴える患者において、内視鏡的に器質的な疾患が存在しなくても、本疾患も念頭において食道内圧検査を検討することが望ましいと考えられた。今回、我々は食道内圧検査にてjackhammer esophagusと診断し得た症例を経験したため、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 Jackhammer Esophagus, 食道内圧検査