セッション情報 シンポジウム2「消化管疾患領域における診療の現状と展望」

タイトル S2-10:

胃粘膜下腫瘍に対する内視鏡と腹腔鏡手術による低侵襲治療

演者 並川 努(高知大学 医学部 外科学講座 外科1)
共同演者 宗景 絵里(高知大学 医学部 外科学講座 外科1), 上村 直(高知大学 医学部 外科学講座 外科1), 志賀 舞(高知大学 医学部 外科学講座 外科1), 北川 博之(高知大学 医学部 外科学講座 外科1), 羽柴 基(高知大学 医学部 消化器内科学講座), 山岡 肇(高知大学 医学部 消化器内科学講座), 水田 洋(高知大学 医学部 消化器内科学講座), 東谷 芳史(高知大学 医学部 消化器内科学講座), 岡本 宣人(高知大学 医学部 消化器内科学講座), 岩崎 信二(高知大学 医学部 消化器内科学講座), 小林 道也(高知大学 医学部 医療学講座 医療管理学分野), 西原 利治(高知大学 医学部 消化器内科学講座), 花崎 和弘(高知大学 医学部 外科学講座 外科1)
抄録 【目的】胃粘膜下腫瘍に対する腹腔鏡下胃局所切除は手技も確立されつつあるが、胃内に発育の主座がある場合に過剰な胃壁切除を伴うこともある。Laparoscopic and Endoscopic Cooperative Surgery (LECS)は腹腔鏡と内視鏡の合同で胃局所切除を行う術式であり、特に管腔内発育型胃粘膜下腫瘍に対しては有用であると思われる。胃粘膜下腫瘍に対する低侵襲治療について検討することを目的とした。【対象および方法】2010年1月から2013年3月の間に自施設で経験した胃粘膜下腫瘍に対する腹腔鏡下切除13症例について臨床病理学的に検討し、LECSの4症例についてその有用性を評価した。【結果】年齢中央値は66歳 (35 - 86)で、男性4例、女性9例、手術時間中央値は169分(85-255)、出血量中央値は36.7 ml (5 - 130)、腫瘍径中央値は3.8 cm (1.7 - 5.5)であった。完全腹腔鏡下切除例が8例、腹腔鏡補助下切除例が2例で、管腔内発育型が6例、管腔外発育型が5例、混合型が2例でGISTが12例、Schwannomaが1例であった。管腔内発育型の3例は、漿膜側から腫瘍局在部位が確認可能で、5 mm以上のsurgical marginをとって自動縫合器により楔状切除し、管腔外発育型の1例は単孔式で切除した。胃体上部後壁の5.5cm大の潰瘍を伴う胃内発育型GISTに対しては腹腔鏡下に胃脾間膜の処理を行い胃上部を受動後、小切開で楔状切除により腫瘍を摘出した。LECSは管腔内発育型の3例と混合型1例に施行し、LECSの4例と従来法の9例を比較すると、年齢、性別、発生部位、腫瘍の大きさ、出血量、手術時間に有意差を認めなかった。全例で術後合併症は特に認めなかった。【結語】LECSの導入にあたってEndoscopic submucosal dissection等の内視鏡的治療と腹腔鏡手術に熟練した術者が共同して行うことで安全に施行可能であり、食道あるいは十二指腸に近接した管腔内発育型の腫瘍に対してより低侵襲な完全鏡視下手術が可能であった。
索引用語 胃粘膜下腫瘍, 低侵襲治療