セッション情報 シンポジウム1「肝胆膵疾患領域における診療の現状と展望」

タイトル S1-04:

マルチポーラによる肝細胞癌のラジオ波焼灼術

演者 上甲 康二(松山赤十字病院)
共同演者 佐々木 由子(松山赤十字病院), 忽那 茂(松山赤十字病院), 田中 孝明(松山赤十字病院), 川村 智恵(松山赤十字病院), 武智 俊治(松山赤十字病院), 山上 隆司(松山赤十字病院), 横田 智行(松山赤十字病院)
抄録 【目的】2013年1月よりバイポーラRFAシステムの使用が可能となり、マルチポーラによる焼灼で、腫瘍を穿刺することなく焼灼することや、大きな腫瘍を短時間で焼灼することが可能となった。このことで、従来はRFAの適応外とされたような大きさや肉眼型の肝細胞癌(HCC)の治療も可能になると考えられるので、その使用経験について報告する。【方法】2013年1月~3月にバイポーラRFAシステムCelonPOWERの使用した27症例48結節とした(1症例4結節の大腸癌肝転移、他はHCC)。広範な焼灼を目的とした症例としては、アプリケータはT40(4cm電極)×3本が7例、T30(cm電極)×3本が2例、T30×2本が6例、T20(2cm電極)×3本が1例、T20×2本が1例で、アプリケータをHCC内に穿刺しない“Untouched method”を行った5例が含まれる。残りの症例は単一アプリケータで加療した。【結果】3本穿刺の1例で血胸の合併症を認めたが自然軽快、他の症例は短時間で安全に広範囲の焼灼が可能であった。T40×3本での焼灼範囲は7例の平均で61mm×58mm×49mmであり、全例20分以内に焼灼することが可能であった。バイポーラRFAシステムの長所と短所をまとめると、長所としては(1)広範囲の焼灼が短時間で可能、(2)腫瘍を穿刺せずに腫瘍を取り囲む穿刺で焼灼が可能で(Untouched method)、肝表面のHCCの直接穿刺を避けることができたり、腫瘍細胞播種のリスク低下が期待される、(3)対極板不要(高エネルギーでも熱傷なし)、(4)安価である、などがあげられた。また、短所としては(1)複数本のアプリケータの的確な穿刺が難しい(電極のナビゲーションシステムが必要か)、(2)電極間の距離が設定と異なる場合のエネルギー量決定が不明、(3)1本のアプリケータの焼灼では焼灼範囲の短径が短い、(4)針先の視認性がやや悪い(絶縁体は良く見える、浅いところの穿刺が難しい)、(5)15Gでやや太い(出血のリスク)、などが挙げられた。【結論】マルチポーラRFAにより、従来はRFAの適応外とされたような大きさや肉眼型のHCCに対するRFAの適応を拡大することができる可能性がある。
索引用語 ラジオ波焼灼術, 肝癌