セッション情報 シンポジウム1「肝胆膵疾患領域における診療の現状と展望」

タイトル S1-16:

膵癌術後補助化学療法としてのGemcitabineおよびS-1の治療成績

演者 岡林 雄大(高知医療センター 消化器外科)
共同演者 志摩 泰生(高知医療センター 消化器外科), 上月 章史(高知医療センター 消化器外科), 住吉 辰朗(高知医療センター 消化器外科), 藤原 聡史(高知医療センター 消化器外科), 田中 公章(高知医療センター 消化器外科), 公文 剣斗(高知医療センター 消化器外科), 齋坂 雄一(高知医療センター 消化器外科), 寺石 文則(高知医療センター 消化器外科), 尾崎 和秀(高知医療センター 消化器外科), 澁谷 祐一(高知医療センター 消化器外科), 福井 康雄(高知医療センター 消化器外科), 中村 敏夫(高知医療センター 消化器外科), 西岡 豊(高知医療センター 消化器外科), 谷木 利勝(高知医療センター 消化器外科)
抄録 「はじめに」膵癌に対し我が国では積極的な拡大手術の適応によって切除率の向上が得られてきたが、通常型膵癌切除例での治療成績は依然として低い。膵癌の手術単独療法に限界があることは明らかで、治療成績の向上のためには術後補助化学療法の確立が重要である。膵癌術後補助化学療法としてのGEMの位置づけは確立されてきているが、そのコンプライアンスの難しさや治療成績は未だ充分であるとは言い難い。近年我が国においてはS-1が膵癌治療に認可され広く使われるようになってきている。「対象と方法」高知医療センターでは膵癌術後補助化学療法としてGEMおよびS-1を導入してきたので、その成績について後ろ向きに検討したので報告する。2005年から2011年の間に高知医療センターにおいて根治切除が施行された膵癌症例189例を対象とし、手術単独群 (n = 65)・GEM群 (n = 62)・S-1群 (n = 62)の3群に分け術後の治療成績について検討した。術後補助化学療法としてGEMは400-1000 mg/bodyを3週投与1週休薬で、S-1は60-100 mg/bodyを2週投薬1週休薬とし可能な限り継続した。「結果」膵癌切除後の5年生存率は31.9%であった。治療別の5年生存率は、手術単独群:22.3% (MS, 15.0 + 5.7 months)、GEM群:38.6% (MS, 33.0 + 5.4 months)、S-1群:34.5% (MS, 45.0 + 7.7 months)であり、全生存率は手術単独群より術後補助化学療法を行った群が有意に良好であった。全国報告の2001~2004年の切除症例の1年・2年・3年生存率はそれぞれ63.6%・36.6%・23.2%であるのと比較しても、本研究でのGEM群およびS-1群では膵癌切除後の生存率を改善させていた。本研究においては、特にStage IVb症例においてS-1群が他の治療群と比べ有意に生存率を向上させていることが示唆されていた。「考察」S-1による膵癌術後補助化学療法は有害事象も少なく有効であった。本研究は後ろ向きの研究ではあるが、術後補助化学療法としてS-1のGEMに対する非劣勢が示唆され、S-1は標準治療の一つになりえると考えられた。
索引用語 膵癌, 外科治療