セッション情報 シンポジウム1「肝胆膵疾患領域における診療の現状と展望」

タイトル S1-06:

当院における肝細胞癌sorafenib投与例の検討

演者 浅木 彰則(国立病院機構 四国がんセンター)
共同演者 日野 佳織(国立病院機構 四国がんセンター), 上杉 和寛(国立病院機構 四国がんセンター), 松本 俊彦(国立病院機構 四国がんセンター), 西出 憲史(国立病院機構 四国がんセンター), 梶原 猛史(国立病院機構 四国がんセンター), 仁科 智裕(国立病院機構 四国がんセンター), 堀 伸一郎(国立病院機構 四国がんセンター), 寺尾 正子(国立病院機構 四国がんセンター), 灘野 成人(国立病院機構 四国がんセンター), 井口 東郎(国立病院機構 四国がんセンター)
抄録 【はじめに】sorafenibが登場し進行肝癌の予後が改善されたものの効果不十分や副作用のため短期間に投与を中止する症例も多くみられる。現時点では効果予測に有用なバイオマーカーはなく、sorfenibの適応については経験により判断せざるをえない。今回当院でsorafenibを投与した49例のうち長期継続例について主に検討した。【対象】当院にて肝細胞癌と診断しsorafenibを投与した49例のうち半年(180日)以上投与することができた12例について主に検討した。12例は、全例男性、年齢の中央値は68(53-81)歳、PS 0/1/2 8/3/1 例。【結果】全49例での投与期間中央値は、122(1-958)日(投与中4例)、生存期間中央値 251(47-1125)日(生存中10例)であった。長期継続12例の背景肝は、HCV /HBV/nonBnonC 5/6/1例、VP 0/3/4 10/1/1 例、全例child pugh A、score 5/6点10/2例、血小板数(中央値)12.1(9-25.1)万/μl、Stage(規約) 3/4A/4B 4/3/5例、転移部位は、リンパ節/肺/副腎/腹膜/骨 4/3/1/1 例であった。投与期間の中央値は255(181-958)日(投与中1例)、初回投与量は、800/600/400mg 2/1/7 例 、治療効果についてはRECISTでPR/SD/PD/判定不能 1/8/1/2例、mRECISTではPR/SD/PD/判定不能 2/7/1/2例であった。生存期間は300-1125日(生存中5例)であった。Grade 3以上の有害事象は、手足症候群1例、肝機能上昇3例。手足症候群に関してはGrade1/2 6/1例であった。その他Grade1-2の下痢を6例、倦怠感3例、消化管出血を2例に認めた。長期投与例では、有害事象での中止が1/11例(9%)で、半年以内の中止例の9/33例(27%)と比較して少なかった。また、AFP低値、開始用量が800mg未満、child pugh 5点の3項目で有意差があった。【まとめ】SHARP試験でのsorafenibのPFS 5.5カ月 、OS 10.7ヶ月を考えると半年以上投与できた12例は予後改善効果が得られた症例と推測される。 長期継続できた理由としてはPR例、long SDが得られたことの他、転移巣の制御目的、門脈腫瘍栓例では放射線治療後に開始したことなど、肝病変が落ち着いていたこと、肝機能が保たれていたことが考えられた。
索引用語 sofafenib, 肝細胞癌