抄録 |
症例1は81歳、男性。3年程前から左鼠径部の膨隆を自覚、徐々に増大傾向とのことで手術を希望され当科紹介受診。立位および座位にて左鼠径部の膨隆を認め、臥位にてやや抵抗があったが用手還納可能であったため、11日後に手術を施行した。しかし、手術開始時には、臥位にて左鼠径部がテニスボール大に腫脹しており用手還納不能であった。S状結腸をヘルニア内容とする外鼠径ヘルニアであり、ヘルニア嚢を全周性に剥離し、ヘルニアを還納してLight Mesh plug Lサイズを用いて修復した。症例2は54歳、男性。1年程前から左鼠径部の間欠痛と膨隆を自覚し、自力で用手還納していたが、1週間前から還納できなくなっていた。尿路結石の加療のため他院を受診した際、左鼠径ヘルニア嵌頓を指摘され、用手還納を試みられたが成功せず当院紹介となった。左鼠径部から陰嚢にかけて著名な膨隆を認め、前医CTにてヘルニア内容はS状結腸であった。鎮痛下に用手還納を試みたが還納できず同日緊急手術を施行した。ヘルニア嚢を開放し脱出していたS状結腸に血流障害がないことを確認し、ヘルニア嚢を全周性に剥離して高位結紮を行いLight Mesh plug Lサイズを用いて修復した。今回、我々は術前に用手還納不能であったS状結腸をヘルニア内容とする外鼠径ヘルニアを2例経験したので、文献的考察を加えてこれを報告する。 |