セッション情報 シンポジウム1「肝胆膵疾患領域における診療の現状と展望」

タイトル 09:

内視鏡的経鼻胆道ドレナージ(ENBD)による胆汁細胞診の有用性

演者 小林 聖幸(JA香川厚生連 滝宮総合病院 内科DELIMITER香川大学 医学部 消化器・神経内科)
共同演者 内田 尚仁(JA香川厚生連 滝宮総合病院 内科), 野村 圭(JA香川厚生連 滝宮総合病院 内科), 古田 康夫(JA香川厚生連 滝宮総合病院 内科)
抄録 【目的】膵胆道疾患のドレナージ法としてENBDがあるが、経鼻チューブによる苦痛を伴う反面、胆汁細胞診を繰り返し施行できる利点もある。施行回数の面からENBDによる胆汁細胞診の評価を行った。【対象と方法】対象は、ENBDを施行した胆管狭窄を有する症例のうち、手術あるいは、画像所見と経過により悪性腫瘍による狭窄と判明した109例である。疾患の内訳は、胆管癌59例、膵癌33例、十二指腸乳頭部癌8例、胆嚢癌6例、肝細胞癌(胆管浸潤例)3例であった。ベッドサイドで1日1回ENBDチューブより胆汁を採取し、氷沈のうえ速やかに病理部に提出した。【成績】細胞診陽性例では、陽性結果が得られるまでの回数をカウントし、細胞診陰性例では、すべての施行回数をカウントしたところ、症例によって細胞診は1回から10回まで施行されており、平均2.72回施行されていた。109例のうち79例で陽性結果が得られ、感度は72.5%であった。疾患別の感度は、胆管癌76.3%、膵癌60.6%、十二指腸乳頭部癌87.5%、胆嚢癌83.3%、HCC66.6%であった。次に施行回数と感度の関連を検討した。1回目の感度は43.1%(47/109)であったが、繰り返し細胞診を施行することにより感度は72.5%(79/109)まで向上した。さらに陽性結果の得られた79例を対象に検討を加えたところ、79例中76例(96.2%)で、6回目までの細胞診で陽性結果が得られていた。【結語】ENBDによる胆汁細胞診は繰り返し施行することにより感度は向上し、72.5%であった。陽性例のうち96.2%(76/79)の症例が6回目までに陽性結果が得られており、少なくとも6回は繰り返し施行する必要があると思われた。
索引用語 ENBD, 胆汁細胞診