セッション情報 | 一般演題(後期研修医) |
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タイトル | 34:低血糖発作を繰り返したIGF-II産生大腸癌の1例 |
演者 | 寺前 智史(徳島大学病院 消化器内科) |
共同演者 | 宮本 弘志(徳島大学病院 消化器内科), 松本 友里(徳島大学病院 消化器内科), 武原 正典(徳島大学病院 消化器内科), 村山 典聡(徳島大学病院 消化器内科), 中村 文香(徳島大学病院 消化器内科), 岸 久美子(徳島大学病院 消化器内科), 大塚 加奈子(徳島大学病院 消化器内科), 藤野 泰輝(徳島大学病院 消化器内科), 三好 人正(徳島大学病院 消化器内科), 香川 美和子(徳島大学病院 消化器内科), 高場 梓(徳島大学病院 消化器内科), 谷口 達哉(徳島大学病院 消化器内科), 郷司 敬洋(徳島大学病院 消化器内科), 北村 晋志(徳島大学病院 消化器内科), 矢野 弘美(徳島大学病院 消化器内科), 六車 直樹(徳島大学病院 消化器内科), 岡久 稔也(徳島大学病院 消化器内科), 高山 哲治(徳島大学病院 消化器内科) |
抄録 | 【症例】患者は40歳代男性、主訴は右季肋部痛と食欲不振。約2ヶ月前より右季肋部痛及び食欲不振を自覚し近医を受診した。血液検査でCEA高値、CTで肝に多発腫瘤影を認め、精査のため当科に紹介された。受診当日の外来で意識が朦朧となり血液検査を行ったところ、血糖50台と低値を認めたため緊急入院となった。現症は、心窩部に肝を5横指触知する以外は特に所見を認めなかった。血液検査では、白血球 24500/μl、CRP 12.58mg/dlと著明な炎症反応の上昇を認め、T-Bil 2.1mg/dl、GOT 110U/L、GPT 35U/L、LDH 2625U/L、ALP 1900U/L、γ-GTP 1119U/Lと胆道系優位に肝胆道系酵素の上昇を認めた。腫瘍マーカーは、CEA 6990ng/ml、CA19-9 1305U/mlと著明に上昇していた。CT検査では肝はびまん性に腫大し、肝内に多発する腫瘤影を認めた。下行結腸に限局性の壁肥厚を認め、下部消化管内視鏡検査を施行した。下行結腸SDよりに管腔の4/5周を占める2型病変を認めた。生検にてGroup V, adenocarcinomaとの結果であった。低血糖をきたす原因を検索したところ、インスリノーマは否定され、内分泌学的検査でも明らかな異常を認めなかった。大腸癌に随伴する低血糖(腫瘍随伴症候群)の可能性を考え、肝癌などの他臓器癌でときどき報告されているinsulin like growth factor-II(IGF-II)の免疫染色を行ったところ、癌細胞に強い発現を認めた。以上からIGF-II産生下行結腸癌(Stage IV)、多発肝転移と診断した。低血糖に対してブドウ糖静注を施行しながら、大腸癌に対し化学療法(FOLFOX)を開始した。その後、腫瘍体積の減少と共に、低血糖症状の改善を認め、現在外来にて化学療法を継続している。【考察】IGF-II産生大腸癌の報告は、医中誌での検索で3例、PubMedでの検索で10例ときわめて稀であり、貴重な症例であると考えられた。現在、血清中のIGF-IIを、Western blot法にて確認中である。【結語】IGF-II産生により低血糖発作を繰り返した大腸癌症例を経験した。 |
索引用語 | IGF-II, 大腸癌 |