セッション情報 一般演題(後期研修医)

タイトル 23:

好酸球増多症、DICを併発する急性肝炎を来した薬物性肝障害の一例

演者 丹下 和洋(済生会今治病院)
共同演者 長谷部 昌(済生会今治病院), 小川 泰司(済生会今治病院), 村上 貴俊(済生会今治病院), 上原 貴秀(済生会今治病院), 中西 征司(済生会今治病院), 宮池 次郎(済生会今治病院), 大本 昌樹(済生会今治病院), 坂東 健次(済生会今治病院)
抄録 【症例】17歳 女性【主訴】腹痛 発熱【既往歴】特記事項なし。【現病歴】10日前より上気道炎症状が出現し、近医にて抗生物質、総合感冒薬を処方された。6日前より再度感冒様症状、全身倦怠感、腹痛が出現し、前医を再受診した。急性胆嚢炎の診断にて、絶食、輸液、抗生剤投与し、一時的に改善見られたが、2日前より症状の増悪あり、精査加療目的に当院紹介となった。【経過】入院時、血液検査にて好酸球の著明な増多(WBC 23800/μl, Neut 53.1% ,Eo 22.9%)、炎症反応上昇(CRP 15.7 mg/dl)、肝胆道系酵素上昇(AST 37 IU/l, ALT 285 IU/l, ALP 438 IU/l, γ-GTP 105 IU/l, T-Bil 1.05 mg/dl )を認め、また急性期DIC診断基準もみたす状態であった。造影CT検査、腹部超音波検査では急性胆嚢炎を示唆する所見なく、急性肝炎を疑う所見であった(び慢性の肝腫大、少量腹水、浮腫上の胆嚢壁肥厚あり)。前医での内服薬服薬後に肝炎症状出現しており、薬物性肝障害を疑い内服薬中止し、DIC加療 (トロンボモデュリンα製剤、ナファモスタットメシル酸塩、AT-3製剤投与、抗生剤:SBT/CPZ 2g/day)行った。臨床症状、DICを示唆する血液検査所見の改善がみられたが、肝胆道系酵素異常、好酸球増多が遷延するため、精査目的に肝生検施行した。病理組織診断では薬物性肝障害に矛盾しない所見であった。DLST検査にては、総合感冒薬成分(スルピリン、アレルギン酸、ピリナジン、カフェインの4剤の合剤)にて陽性反応がみられた。薬物投与後の肝機能異常発症時間、また消退の関係や、他の肝障害となる誘因がみられないことから薬物性肝障害と診断した(2004 DDW-J診断基準のスコアリングでは5点以上)。PSL 30mg/day開始し、肝機能正常化したため、漸減後に退院、外来加療となった。【結語】薬の有害事象は社会的にも注目されており、劇症化して死に至る場合もある。今回若年で好酸球増多症、DICを併発する急性肝炎を来した薬物性肝障害の一例を経験したので報告する。
索引用語 肝臓, 薬物性肝障害