セッション情報 |
シンポジウム1「肝胆膵疾患領域における診療の現状と展望」
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タイトル |
13:消化器外科重症患者周術期管理におけるSVI・CVO2 index の有用性に関する検討
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演者 |
近森 文夫(国吉病院 消化器外科) |
共同演者 |
国吉 宣俊(国吉病院 消化器内科), 岡本 博司(国吉病院 消化器内科) |
抄録 |
近年、高齢者ならびに合併症を有する消化器外科重症患者の増加に伴い術中術後管理も複雑化している。当科では2011年8月より周術期血行動態監視モニターとしてビジレオモニターを、2012年5月からはEV1000クリティカルケアモニターを採用してきた。さらに2012年11月からは主治医の携帯端末からも終日監視できるようにしている。今回簡単でわかりやすい指標としてSVI・CVO2(1回拍出量係数×中心静脈血酸素飽和度) indexを考案し、その有用性について報告したい。対象は2011年8月から2012年12月までに血行動態監視モニターを装着した消化器外科重症患者32例。年齢は77±17歳、M/F=15/17。結果:1.SVI・CVO2 indexは平均動脈圧と正の相関を、心拍数、全身血管抵抗係数、1回拍出量変化と負の相関を示した。しかしながら動脈血酸素飽和度、中心静脈圧とは有意な相関を認めなかった。2.SVI・CVO2 index 20以上グリーン、10以上20未満イエロー、10未満レッドゾーンとして個々の症例を検討。出血性十二指腸GISTに対して膵頭十二指腸切除術を施行した85歳の症例は術後SVI・CVO2indexがイエローゾーンになり、心電図変化、エコー所見よりたこつぼ型心筋症と診断した。紋扼性イレウス・誤嚥性肺炎・多臓器不全の91歳の症例は積極的治療に反応せずSVI・CVO2 indexがレッドゾーンで推移し死亡に至った。進行胃癌術後膵癌の76歳の症例は膵体尾部切除術中心停止におちいり、開胸心マッサージを施行した。開胸心マッサージ中の平均動脈圧は30mmHg程度しか維持できなかったが、SVI・CVO2indexはイエローゾーンで経過し43分後にカウンターショックにて自己心拍再開し救命しえた。結語:SVI・CVO2 indexは消化器外科重症患者の簡便な予後予測指標になりうると思われた。主治医によるモバイル機器を用いた終日監視は周術期管理に有用と思われた。安全に周術期を乗り切るためには、 SVI・CVO2 indexをグリーンゾーンで維持するように管理することが重要と思われた。 |
索引用語 |
SVI・CVO2index, 周術期管理 |