セッション情報 一般演題(後期研修医)

タイトル 22:

遷延する黄疸に対し、UDCAよりbezafibrateが有効であった急性肝炎の1例

演者 川田 愛(高知赤十字病院 内科)
共同演者 小島 康司(高知赤十字病院 内科), 中山 瑞(高知赤十字病院 内科), 内多 訓久(高知赤十字病院 内科), 岡崎 三千代(高知赤十字病院 内科), 岩村 伸一(高知赤十字病院 内科)
抄録 患者は53歳男性。既往歴は高血圧、30歳時に原因不明の劇症肝炎。飲酒歴はビール1000mlを週2回程度。2012年7月1日から咽頭痛があり、2日にA耳鼻科受診。扁桃炎としてMINOなどを処方された。4日から発疹が出現し、5日にB院受診。急性扁桃炎の診断で6日より入院し抗生剤加療を受けた。入院時に軽度の肝機能検査異常もあり、腹部超音波検査で胆嚢ポリープ、脂肪肝を指摘された。MINOの薬物リンパ球刺激試験(DLST)は陽性で、発疹は中毒疹または薬疹が疑われ、肝機能検査も改善したため13日に退院した。しかし24日に黄疸を自覚し、白色便も認めるため8月8日にB院再診。T.Bil 16mg/dlと上昇あり、9日、当院での入院加療目的に紹介となった。来院時著明な黄疸あり、AST 366 IU/l、ALT 634 IU/l、LDH 271 IU/l、ALP 346 IU/l、T-Bil 19.0mg/dlと異常値を認めたが、各種肝炎ウイルスマーカーは陰性であった。閉塞性黄疸は否定され、安静、補液のみでAST、ALTは低下し、14日に行った肝生検では急性肝炎に矛盾しない組織所見であった。しかし黄疸は遷延し、15日からUDCAを開始したが効果はなく、T.Bil 20.4mg/dlまで上昇したため21日からbezafibrateの内服を開始した。その後は順調に減黄し、9月10日に退院となった。退院後UDCAは中止し、bezafibrate内服のみで再燃はない。
B院入院中、MINOによるアレルギーおよび薬物性肝障害が存在していたと推測されるが、その後抗生剤の中止にも関わらず急性肝炎を発症し、遷延する黄疸に対してbezafibrateが有効であった1例である。
肝内胆汁うっ滞に対する薬物治療として、UDCA、ステロイド、フェノバルビタール、漢方(インチンコウトウ)などの投与が行われているが、必ずしも有効例ばかりではない。Bezafibrateは肝細胞の核内受容体PPARαに結合することで作用する高脂血症治療薬である。また毛細胆管膜上のMDR3誘導によるリン脂質の胆汁中分泌増加作用もあり、PBCなどの慢性胆汁うっ滞性肝疾患の治療にも広く用いられている。胆汁うっ滞型急性肝炎における有効例の報告は少なく、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 急性肝炎, bezafibrate