セッション情報 一般演題

タイトル 41:

腸管嚢腫様気腫症の臨床的検討

演者 森下 寿文(松山赤十字病院 胃腸センター)
共同演者 川崎 啓祐(松山赤十字病院 胃腸センター), 蔵原 晃一(松山赤十字病院 胃腸センター), 河内 修司(松山赤十字病院 胃腸センター), 八板 弘樹(松山赤十字病院 胃腸センター), 長末 智寛(松山赤十字病院 胃腸センター), 阿部 洋文(松山赤十字病院 胃腸センター), 澤野 美由紀(松山赤十字病院 胃腸センター), 渕上 忠彦(松山赤十字病院 胃腸センター)
抄録 【目的】腸管嚢腫様気腫症の臨床的特徴を明らかにすること。【方法】当センターにおいて2003年1月から2012年12月までの10年間に診断した腸管嚢腫様気腫症18例を対象として、その臨床的特徴を遡及的に検討した。【成績】18例の平均年齢は59.2歳(22歳-79歳)であり、男性9例、女性9例であった。症状は下痢が7例と最も多く、次いで腹部不快感4例、嘔気、腹痛、血便が各2例ずつであったが、無症状の症例も8例認めた。18例中11例に基礎疾患、合併疾患を認め、続発性と考えられた。その内訳は消化器疾患7例(潰瘍性大腸炎2例、indeterminated colitis1例、NSAIDs起因性腸病変1例、腸結核術後1例、腸捻転および癒着性イレウス術後1例、外傷性腸管損傷1例)、膠原病3例(慢性関節リウマチ、多発性筋炎、強皮症)、慢性呼吸器疾患1例(慢性気管支炎)であった。α-グルコシダーゼ阻害薬や糖類下剤の内服歴や有機溶媒暴露歴は認めなかった。診断方法は大腸内視鏡検査(12例)、小腸造影検査(4例)、注腸造影検査(1例)、手術所見(1例)であった。また、18例中3例においてfree airを認めた。病変の部位は重複を含めると上行結腸10例(55.6%)、横行結腸5例(27.8%)、下行結腸2例(11.1%)、S状結腸2例(11.1%)、直腸1例(5.6%)、下部小腸4例(22.2%)、中部小腸2例(11.1%)であった。治療としては5例に対して高濃度酸素療法を施行し、5例中3例に対して症状の改善を認め、2例に対して所見の消失を認めた。その他2例は原疾患の加療にて症状の改善および病変の治癒消失を認め、1例には手術を施行した。それらを除く10例に関しては無治療で経過観察としたが、そのうち再検査を施行した6例中5例において病変の治癒消失を認めた。【結論】腸管嚢腫様気腫症は右側大腸に多く、無症状も含めて多彩な臨床像を呈し、その後の経過も含め更なる検討が必要と考えた。
索引用語 腸管嚢腫様気腫症, 腸壁嚢状気腫