セッション情報 シンポジウム1「肝胆膵疾患領域における診療の現状と展望」

タイトル S1-14:

進行膵癌に対するgemcitabine、S1併用化学療法の検討

演者 木岐 淳(高知大学 医学部 消化器内科)
共同演者 耕崎 拓大(高知大学 医学部 消化器内科), 永田 友梨(高知大学 医学部 消化器内科), 石川 洋一(高知大学 医学部 消化器内科), 北川 達也(高知大学 医学部 消化器内科), 吉岡 玲子(高知大学 医学部 消化器内科), 羽柴 基(高知大学 医学部 消化器内科), 麻植 啓輔(高知大学 医学部 消化器内科), 西原 利治(高知大学 医学部 消化器内科), 宗景 匡哉(高知大学 医学部 外科), 花崎 和弘(高知大学 医学部 外科)
抄録 【目的】進行膵臓癌に対してgemcitabine(以下GEM)は優位に生存期間の延長をもたらすことが明らかになり、現在では標準治療薬として位置付けられている。しかしながらGEM単独では十分満足出来る成績ではなくGEMを中心薬剤とした多剤併用療法が試みられている。今回、我々はGEMにS1を併用した(以下GS療法)の成績を検討した。【方法】対象:過去5年間の当科における手術不能進行膵臓癌120例。投与方法:GEM 800~1000 mg/m2、S1 40~80 mg/m2の2投1休を基本とするが有害事象出現時は適宜減量した。【結果】120例中GS療法を導入した100例(放射線併用12例、GEM単独8例の計20例を除く)で最終的にGS療法を継続出来たのは69例であった。導入出来なかった31例は薬疹21例、骨髄抑制4例、消化器症状3例、間質性肺炎2例が原因であった。GS療法を継続出来た69例(男性36例、女性33例)につきさらに検討した。平均年齢:68.9歳(42~85歳)。病期:stage III 1例、stage IVa 16例、stage IVb 52例。奏効率は画像的評価が可能であった52例中CR 0例、PR 3例、SD 40例、PD 9例であった。現在の生存例9例をふくめた観察期間は28~1002日で、生存期間中央値は271日であった。最終的に死亡日の確認が出来ない3例を除くと6か月生存は47/66例(71%)、1年生存は21/66例(32%)であった。【結論】GS療法は一般的なGEM単独療法の成績より奏効率は良かったが、生存期間の明らかな延長は認められず、進行膵臓癌に対するさらなる有効な治療法の開発が求められる。
索引用語 膵臓癌, 化学療法