セッション情報 | 一般演題(後期研修医) |
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タイトル | 42:漢方薬長期服用者にみられた特発性腸間膜静脈硬化症の2例 |
演者 | 長末 智寛(松山赤十字病院 胃腸センター) |
共同演者 | 川崎 啓祐(松山赤十字病院 胃腸センター), 蔵原 晃一(松山赤十字病院 胃腸センター), 大城 由美(同院 病理部), 河内 修司(松山赤十字病院 胃腸センター), 八板 弘樹(松山赤十字病院 胃腸センター), 森下 寿文(松山赤十字病院 胃腸センター), 阿部 洋文(松山赤十字病院 胃腸センター), 澤野 美由紀(松山赤十字病院 胃腸センター), 渕上 忠彦(松山赤十字病院 胃腸センター) |
抄録 | 症例1は65歳、女性。既往歴として46歳時に卵巣癌の手術歴があり、術後の体力低下や更年期障害などに対して加味逍遥散、補中益気湯と防已黄耆湯を約15年間内服していた。約4ヶ月間持続する右側腹部痛を主訴に当センターを受診した。大腸内視鏡検査で回盲部から近位横行結腸にかけて暗紫色調を呈する軽度の浮腫状粘膜面を認め、同部からの生検で、粘膜固有層内や粘膜筋板付近の血管周囲に抗酸性物質の沈着を認めた。抗酸性物質はDylon染色陰性でAzan染色陽性、Masson-Trichrom染色陽性であり、増生した膠原線維の所見であった。明らかな血管炎の所見は認めなかった。腹部単純CTでは上行結腸から肝弯曲部付近にかけて結腸腸間側に細長い石灰化像を認め、同部位の腸管壁は肥厚していた。注腸X線検査では、上行結腸に限局性の浮腫像と腸管壁の進展不良所見を認めた。以上の所見より、特発性静脈硬化症(Idiopathic mesenteric phlebosclerosis:以下IMP)と診断した。症例2は63歳、女性。更年期障害に対して加味逍遥散を12年間内服していた。近医で腫瘍マーカー(CEA、CA19-9)の上昇を指摘され、当院を紹介受診した。消化管病変検索目的に施行した大腸内視鏡検査で、盲腸から肝弯曲部の粘膜は軽度青銅色を呈しており、生検では粘膜固有層内の小血管壁が線維性に肥厚し、周囲に線維化を伴っていた。CT上は明らかな静脈の石灰化は指摘できなかったが、内服歴と内視鏡所見、病理組織所見よりIMPと診断した。2症例とも漢方薬を中止し経過観察中であるが、症状の増悪を認めていない。IMPは、大腸壁内から腸間膜に静脈の石灰化が生じ静脈潅流が障害され慢性虚血性変化をきたす比較的まれな疾患で、時に繰り返す狭窄症状や便通異常などにより手術に至る症例もある。本症の病因は依然不明であるが、近年、漢方薬長期服用、特に、山梔子などとの関連性が指摘されており、本自験2症例も、山梔子を含む漢方薬の長期内服歴を認めた。文献的考察をふまえ報告する。 |
索引用語 | 特発性静脈硬化症, 漢方薬 |