セッション情報 一般演題(初期研修医)

タイトル 04:

ドネぺジル塩酸塩服用中に見られた消化性潰瘍症例の検討

演者 俵 広樹(高知県立幡多けんみん病院)
共同演者 高田 昌史(高知県立幡多けんみん病院消化器科), 矢野 有佳里(高知県立幡多けんみん病院消化器科), 沖 裕昌(高知県立幡多けんみん病院消化器科), 森澤 憲(高知県立幡多けんみん病院消化器科), 宮本 敬子(高知県立幡多けんみん病院消化器科), 上田  弘(高知県立幡多けんみん病院消化器科), 澤田 晴生(澤田医院)
抄録 ドネぺジル塩酸塩(商品名アリセプト)はコリン賦活作用による消化性潰瘍の合併が見られることが知られているが、その詳細を検討した報告は少ない。当院で2010年10月以降にドネぺジル塩酸塩服用中に胃十二指腸潰瘍(瘢痕は除く)を合併した症例は4例、すべて胃潰瘍(胃体部3例胃角1例)で、男性3例女性1例、平均年齢は82歳(78―89歳)、ドネぺジル塩酸塩は全例5mg服用していた。2例は低用量アスピリン併用であったが、このうち1例は難治性で、H.pyroli 陰性、低用量アスピリンからシロスタゾールに変更後も潰瘍瘢痕に至らずPPIの継続投与を続けている。残り2例はNSAID服用なし、H.pylori 陰性であった。 症例1 80歳代男性、2009年11月に消化管出血にて入院、胃角小彎後壁に露出血管を伴う深掘れ潰瘍あり、内視鏡的止血施行。H.pyroli 抗体陰性、NSAID服用なし、ドネぺジル塩酸塩服用あり(開始時期不明)、3か月後潰瘍瘢痕確認しPPI継続(コンプライアンスは不明)してたが、2010.10再度消化管出血あり、同部位に潰瘍再発し、再度内視鏡的止血後ドネぺジル塩酸塩は中止した。その後は胃潰瘍再発は認めない。 症例2 70歳代女性、2011年末頃からドネぺジル塩酸塩服用あり、2013年2月タール便にて入院、胃体上部小彎に露出血管を伴う潰瘍を認め、内視鏡的止血施行。H.pyroliは生検病理で陰性、NSAID服用なし。PPI投与にてH2stageまで改善して転院、PPI継続中である。当院で過去2年6か月間に内視鏡で確認した胃十二指腸潰瘍例(瘢痕は除く)は245例でそのうちドネぺジル塩酸塩が原因と考えられる症例は上記2例(1%以下)で、頻度的には少ないと考えられるが、重症例、難治例が多い可能性が示唆された。消化器病学会消化性潰瘍診療ガイドラインおよびEBMに基づく胃潰瘍診療ガイドラインではドネぺジル塩酸塩服用は消化性潰瘍の危険因子としては取り上げられていないが、今後症例の蓄積にて新たな知見が得られるかもしれない。若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 ドネペジル塩酸塩, 消化性潰瘍