セッション情報 | シンポジウム1「肝胆膵疾患領域における診療の現状と展望」 |
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タイトル | S1-05:ミリプラチンの加温効果に関する検討 |
演者 | 三好 久昭(香川大学 医学部 消化器・神経内科) |
共同演者 | 前田 瑛美子(香川大学 医学部 消化器・神経内科), 坂本 鉄平(香川大学 医学部 消化器・神経内科), 三村 志麻(香川大学 医学部 消化器・神経内科), 野村 貴子(香川大学 医学部 消化器・神経内科), 谷 丈二(香川大学 医学部 消化器・神経内科), 米山 弘人(香川大学 医学部 消化器・神経内科), 出口 章広(香川大学 医学部 消化器・神経内科), 樋本 尚志(香川大学 医学部附属病院 総合診療部), 正木 勉(香川大学 医学部 消化器・神経内科) |
抄録 | 【目的】今回我々は当院において経験した肝細胞癌患者を対象としてミリプラチンの加温効果に関しての有効性および安全性の検討を行ったので報告する。【方法】加温しての投与を開始した2011年7月12日以降の連続した症例とそれ以前の室温での投与を行った連続30例を対象とした。全体の背景は平均年齢73歳、男女比19:11、背景疾患はAIH 1例、alcohol 2例、HBV 3例、HCV 20 例、nonBnonC 4例、臨床病期はI:II:III IV=1:22:6:1、Child 分類はA : B = 14 : 16であった。投与方法はミリプラチンを添付文書通りに20mg/mlの濃度に調整し、加温群ではウォーターバスを用いて45℃に加温して投与し、室温群では添付文書通りの方法で溶解して投与した。投与1週間後の単純CT(Lp-CT)でリピオドールの集積を確認し、リピオドールの停滞様式を分類し(Ia:腫瘍周囲にも集積あり、Ib:腫瘍のみに集積するが欠損なし、II:腫瘍のみに集積を認めるが欠損あり、III:腫瘍に部分的に集積あり)、加温の有無によるリピオドールの停滞様式との関係について検討した。また、投与1~6か月後にdynamic CTを施行し、治療効果判定を行った。安全性評価のため、有害事象の発生頻度、重症度などについても検討を行った。【成績】Lp-CTにおいて(Ia+Ib)の症例の割合を検討すると室温群では23%であったのに対して加温群では67%と有意差を認めた。Dynamic CTにおける治療効果判定では室温群では奏効率は15.4%であったのに対して加温群では33.3%であり、加温群の方に治療効果が高い傾向にあった。安全性に関しては加温群で発熱の頻度が有意に高かったが、重篤な副作用はなかった。今回の検討では症例数が少ないものの加温群の方に治療効果が高い傾向にあり、ミリプラを加温して投与することにより治療効果が高まる可能性が示唆された。 |
索引用語 | ミリプラチン, 加温 |