共同演者 |
稲田 暢(済生会松山病院 内科), 宮本 裕也(済生会松山病院 内科), 青野 通子(済生会松山病院 内科), 中口 博充(済生会松山病院 内科), 久米 美沙紀(済生会松山病院 内科), 梅岡 二美(済生会松山病院 内科), 村上 英広(済生会松山病院 内科), 沖田 俊司(済生会松山病院 内科), 宮岡 弘明(済生会松山病院 内科), 岡田 武志(済生会松山病院 内科) |
抄録 |
【症例】52歳男性 【主訴】悪心【現病歴】2007年から脂質異常症で通院中。2009年12月のZTTは基準範囲内であったが2011年1月から漸増していた。また、2011年以降、γ-GTが時々軽度上昇していた。2013年1月に悪心を認め当科受診。AST 404 IU/L ALT 663 IU/L ALP 441 IU/L γ-GT 579 IU/L T-BIL 1.36mg/dlと肝胆道系酵素の上昇を認めたため、精査加療目的で入院となった。【既往歴】脂質異常症、脱毛症【薬剤歴】フェノフィブラート、フィナステリド【生活歴】機会飲酒【現症】身長170cm 体重88.2kg BMI30.5.体温36.7℃ 血圧130/80mmHg 身体所見に特記すべき点なし【検査所見】RBC 549万/μl,Hb 17.9g/dl,WBC 5930/μl (St 49.6 Ly33.1 Mono 7.3 Eos 8.3),Plt23.7万/μl,AST 436IU/L,ALT 685 IU/L,ALP 388 IU/L,LD 308 IU/L,γ-GT 629 IU/L,ChE 300 IU/L,LAP 157 IU/L,T-BIL 1.24mg/dl,ZTT 30.7U,フェリチン 2016.0ng/ml, PT 108% 腹部US;やや腫大、SOL(-)、 fatty liver (-)【治療経過】急性肝障害と考え、安静、定期薬中止にて治療開始。IgM-HA抗体(-)、IgM-HBc(-)、HCV-RNA(-)、フェノフィブラート及びフィナステリドのDLST(-)、Cu、セルロプラスミンは正常値であった。ANA 80倍 nucleolar pattern、AMA M2陽性、IgG2379 mg/dl、IgG4 72 mg/dl、IgM132 mg/dl、IgA202 mg/dlであった.入院10日目にエコー下肝生検施行。慢性非化膿性破壊性胆管炎を認めたためPBCと診断、加えて、肝実質の炎症細胞浸潤が著明であり、中心静脈周囲に巣状壊死があることから急性発症型AIHを合併したと考えられた。2011年からZTTが漸増してしたことも考慮し、基礎疾患がPBCであり、AIHを合併したと考えた。入院12日目からUDCA600mgを開始し経過良好にて入院19日目に退院となった。しかし、退院後48日目にAST 518 ALT695 ALP290と再燃を認めPSL60mgを開始。現在漸減を行っている。【まとめ】急性発症型AIHの臨床経過を合併した男性PBCを経験した。PBC/AIH overlap症候群の病態については不明な点も多く、症例の蓄積が望まれる。 |