セッション情報 一般演題(後期研修医)

タイトル 44:

経直腸的前立腺生検後出血に対して、内視鏡的止血術を施行した一例

演者 寺澤 裕之(三豊総合病院 内科)
共同演者 榮 浩行(三豊総合病院 内科), 今川 敦(三豊総合病院 内科), 藤原 学(三豊総合病院 内科), 安原 ひさ恵(三豊総合病院 内科), 神野 秀基(三豊総合病院 内科), 加地 英輔(三豊総合病院 内科), 守屋 昭男(三豊総合病院 内科), 幡 英典(三豊総合病院 内科), 中津 守人(三豊総合病院 内科), 安東 正晴(三豊総合病院 内科)
抄録 症例は70歳代、男性。2012年10月に検診でPSA高値を指摘され、精査目的に当院泌尿器科へ紹介となった。腹部MRI検査では前立腺の右葉に拡散強調像でvery high、T2強調像でlowな1.3mm大の結節を認め、前立腺癌もしくは前立腺上皮内腫瘍が疑われたため同年11月、入院のうえ経直腸的前立腺生検を施行した。術後は出血などの有害事象を認めず、翌日退院となった。生検後4日目に、血便を主訴に当院救急外来を受診し、消化管出血にて即日入院となった。入院後も血便(新鮮血)が続き、腹部CT検査では直腸の腸管壁は肥厚しており、腸管内には高吸収の内容物を認めた。前立腺生検後の出血が疑われ、下部消化管内視鏡検査を施行した。直腸Rb背側の歯状線直上付近に複数の生検痕を認め、そのうち一箇所に露出血管を認めた。同部位から出血を認めたためクリッピングによる止血術を施行し終了した。術後は経過良好で入院後8日目に退院となった。経直腸的前立腺生検後の重篤な直腸出血の頻度は0.9%~2.1%と低く、処置を要する直腸出血の頻度は0.0~0.6%と報告されている。多くは生検日同日に出血を発症しており、本症例のような遅発性の出血は稀である。遅発性の出血は発見が遅れ重篤な出血を来す可能性があるため前立腺生検の合併症として念頭においておく必要があると考えられた。今回、経直腸的前立腺生検後に遅発性出血を来した一例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 前立腺生検, 直腸出血