セッション情報 一般演題(後期研修医)

タイトル 31:

敗血症経過中に腸腰筋膿瘍が明らかとなった糖尿病合併アルコール性肝硬変の1例

演者 末内 辰尚(阿南医師会中央病院 内科)
共同演者 柴 昌子(阿南医師会中央病院 内科), 小柴 邦彦(阿南医師会中央病院 内科), 名田 晃(阿南医師会中央病院 内科), 小野瀬 由紀子(阿南医師会中央病院 内科), 小崎 裕司(阿南医師会中央病院 内科), 佐藤 敬(阿南医師会中央病院 内科), 澤田 誠三(阿南医師会中央病院 内科), 日比野 真吾(日比野病院), 石橋 直子(徳島赤十字病院 総合診療科)
抄録 症例は68歳、男性。主訴は発熱、意識障害。既往歴は55歳時にアルコール性肝硬変、67歳時に糖尿病を指摘。現病歴は2011年8月に発熱、意識障害が出現したため近医を受診し、血圧低下を認め、同日入院した。血液培養では、Enterobacter cloacaeが検出され、敗血症性ショック、DICの診断で、保存的加療を開始された。第10病日にはショック状態より離脱し、第14病日に当院へ転院し治療を継続した。第18病日より微熱、第19病日より高熱が出現したため、腹骨盤部CT検査を施行したところ、大量の腹水のほか、3cm大の右腸腰筋膿瘍を認めた。Child-Pugh分類はCで、腎機能は低下しており、血小板減少による出血傾向もあり、開腹手術や後腹膜穿刺によるドレナージ治療はリスクが高いと判断し,抗生剤投与による保存的加療を継続した。次第に発熱は改善、炎症反応も正常化し、画像にても次第に腸腰筋膿瘍の縮小傾向を認めた。第64病日に抗生剤を静注から内服に変更し、その後も良好な経過が得られ、第79病日に退院となった。
腸腰筋膿瘍は、その臨床症状から早期診断がつきにくい疾患の1つとされ、肝硬変を伴った腸腰筋膿瘍は報告例が少ない稀な疾患である。腸腰筋膿瘍の治療法については、早期診断と確実なドレナージが重要とされるが、本例においては全身状態も考慮し、抗生剤長期投与による保存的加療を選択し改善が得られた。
索引用語 肝硬変, 腸腰筋膿瘍