セッション情報 一般演題(後期研修医)

タイトル 12:

診断に苦慮したIgG4関連疾患の一例

演者 忽那 茂(松山赤十字病院 肝臓・胆嚢・膵臓内科)
共同演者 佐々木 由子(松山赤十字病院 肝臓・胆嚢・膵臓内科), 川村 智恵(松山赤十字病院 肝臓・胆嚢・膵臓内科), 田中 孝明(松山赤十字病院 肝臓・胆嚢・膵臓内科), 武智 俊治(松山赤十字病院 肝臓・胆嚢・膵臓内科), 山上 隆司(松山赤十字病院 肝臓・胆嚢・膵臓内科), 横田 智行(松山赤十字病院 肝臓・胆嚢・膵臓内科), 上甲 康二(松山赤十字病院 肝臓・胆嚢・膵臓内科)
抄録 【症例】34歳、男性【主訴】左下腹部痛【生活歴】飲酒歴:機会飲酒程度 喫煙歴:なし【現病歴】平成24年4月末より食後に増悪する左下腹部痛を繰り返していた。5月9日に症状増悪したため近医を受診した。単純CTにて膵尾部腫大を認めたため当科紹介され、急性膵炎の疑いにて同日入院した。【検査所見】WBC 8490/μl Hb 12.7g/dl Plt 38.6/μl T.bil 0.6 mg/dl, AST 17 U/l, ALT 20 U/l, ALP 284 U/l, sAMY 88 U/l, ANA<40倍, IgG 1178 mg/dl, IgG4 73mg/dl, CEA 2.1 ng/ml, CA19-9 50.2 U/ml 造影CTでは造影効果の低下を伴う膵尾部腫大、左前腎傍腔までのfluid貯留、周囲脂肪織濃度上昇、胆嚢底部の壁肥厚、#12リンパ節腫大を認めた。【入院後経過】膵炎は保存的加療にて軽快した。膵尾部に限局した膵炎であったため、膵悪性疾患による閉塞性膵炎の可能性を考慮し退院後にPET-CT施行したところ、膵頭体尾部、胆嚢底部、回盲部、回盲部周囲および#12リンパ節にFDG集積を認めた。全身性炎症性疾患もしくは多発する悪性疾患の可能性が疑われ、診断のため膵尾部からの経皮的生検を行った。悪性所見は認めず、IgG4関連疾患を示唆する所見であったが確定診断には至らなかった。胆嚢病変と近傍のリンパ節は独立した悪性疾患の可能性もあると考え、Total biopsy目的に胆嚢、リンパ節摘出術を施行したところ、組織学的にIgG4関連疾患に合致する所見を得た。膵については、ERCPで再検を行うと膵体部から尾部に強い主膵管の不整狭窄を認め、自己免疫性膵炎に合致する所見であった。胆管には狭窄や拡張所見はなくIDUSでも壁の肥厚不整などの所見を認めなかった。以上よりIgG4関連疾患と診断し、プレドニゾロン40mg/日(0.6mg/kg)の投与を開始した。効果判定のCT、PET-CTでは膵体尾部の腫大、回盲部壁肥厚、回盲部周囲リンパ節腫大のいずれも改善を認めた。【結語】胆嚢切除にて確定診断に至ったIgG4関連疾患の一例を経験した。診断に苦慮したため文献的考察を加えて報告する。
索引用語 IgG4関連疾患, 胆嚢病変