セッション情報 一般演題(初期研修医)

タイトル 25:

同一肝亜区域内に混合型肝癌と肝細胞癌が存在した重複癌の1例

演者 近藤 雄一郎(高知医療センター 消化器内科)
共同演者 宇賀 公宣(高知医療センター 消化器内科), 石川 紋子(高知医療センター 消化器内科), 山崎 美樹(高知医療センター 消化器内科), 辻 枝里(高知医療センター 消化器内科), 根来 裕二(高知医療センター 消化器内科), 森下 佐織(高知医療センター 消化器内科), 大西 知子(高知医療センター 消化器内科), 山田 高義(高知医療センター 消化器内科), 岩田 純(高知医療センター 病理診断科), 志摩 泰生(高知医療センター 消化器外科), 森田 雅範(高知医療センター 消化器内科)
抄録 症例 62歳男性主訴 肝腫瘍治療目的既往歴 36歳 虫垂炎にて手術    51歳 胆石にて手術    55歳 C型慢性肝炎に対してインターフェロン療法を行うも排除に至らず。現病歴 2012年9月に前医施行の腹部CTにてC型慢性肝炎を背景とした肝S8内に2個の腫瘍を指摘され、当院消化器内科に紹介受診となった。当院での腹部ダイナミックCTで、肝S8に2個の結節が認められた。肝S8aの結節は14mm大で不整経の早期濃染を呈し、平衡相でのwash outは認められなかった。肝S8cの結節は、18mm大で類円形の早期濃染(結節内結節様)を呈し、平衡相でのwash outが認められた。腹部MRIでは、肝S8aの結節は、T1強調像でiso intensity、T2強調像でslightly high intensity、dynamic studyでは不整形の早期濃染を呈し、平衡相でのwash outは認められなかった。Gd-EOB-DTPA造影肝細胞相では、不整形のdefectを呈した。肝S8cの結節は、T1強調像でiso itensity、T2強調像でiso intensity、dynamic studyにて類円形の早期濃染(結節内結節様)を呈し、平衡相でのwash outが認められた。Gd-EOB-CTPA造影肝細胞相では、類円形のdefectを呈した。早期濃染にて結節内結節様に描出された部位は肝細胞相ではhigh intensityであった。以上の所見から、S8aの結節がやや非典型的ではあるものの、肝S8の2個の肝細胞癌と診断した。S8cの結節は、結節内結節様の造影パターンを呈し、Gd-EOB-DTPA造影肝細胞相では結節内結節がhigh intensityを呈することから、一部に胆汁産生を伴う肝癌であろうと診断した。治療法について、患者本人が外科手術を希望され、当院消化器外科にて2012年10月12日、肝S8部分切除を施行した。術後病理結果は、S8aは混合型肝癌、S8cは肝細胞癌であり重複癌の状態であった。本症例は、同一肝亜区域内に混合型肝癌と肝細胞癌が存在する極めてまれな重複癌であった。調べうる限り同様の報告はなく、若干の文献的考察を交えて報告する。
索引用語 肝細胞癌, 混合型肝癌