セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 14:糖尿病患者の腹部症状 |
演者 | 杵川 文彦(さぬき市民病院 内科) |
共同演者 | 井上 利彦(さぬき市民病院 内科), 松田 和也(松田内科医院 内科), 木田 裕子(さぬき市民病院 内科), 中尾 克之(さぬき市民病院 内科), 正木 勉(香川大学 消化器・神経内科) |
抄録 | 【目的】糖尿病患者においては腹部症状を訴えることが多いが、その原因については不明な点が多い。今回は糖尿病患者の腹部症状と糖尿病の合併症および罹病期間との関連について検討した。【方法】対象は糖尿病教育入院患者51例。GSRSを用いて腹部症状を定量的に評価し、下位尺度のスコアが2以上を症状ありとした。心拍変動係数(CVRR)が2未満の例を自律神経障害ありとした。血液生化学検査、尿検査により腎症を、眼底検査により網膜症を診断した。問診と診療録から罹病期間を決定し、7年以上と未満の群に分けた。腹部症状の有無と合併症および罹病期間との関連についてΧ2乗検定を用いて評価した。【結果】自律神経障害は23例に認められた。腎症I期は35例、II期以上は16例であった。網膜症は19例に認められた。GSRSのスコアは腹痛1.6±0.2、酸逆流1.3±0.1、消化不良1.7±0.1、便秘2.0±0.2、下痢1.6±0.1で便秘スコアが最も高値であった。罹病期間と便秘症状の有無との関連について検討したところ、罹病期間が7年以上の例において有意に便秘症状が強かった(p=0.0388)。自律神経障害の有無と便秘症状の有無との関連についての検討では自律神経障害を有する例において便秘症状が強い傾向を認めた(p=0.0803)。便秘と腎症(p=0.2011)、便秘と網膜症(p=0.6553)との間には有意な関連を認めなかった。便秘以外の症状と合併症および罹病期間との間には有意な関連は認められなかった。【結論】糖尿病患者では便秘症状が最も強く、便秘症状のみが罹病期間と有意な関連性を認め、自律神経障害を有する例において強い傾向が見られた。罹病期間が長く神経障害を有する例においては便秘症状が強く、QOLに影響を及ぼす可能性が示唆された。 |
索引用語 | 糖尿病, 腹部症状 |