セッション情報 一般演題

タイトル 03:

食道胃接合部に発生した馬蹄型平滑筋腫の1例

演者 上村 直(高知大学 医学部 外科学講座 外科1)
共同演者 並川 努(高知大学 医学部 外科学講座 外科1), 宗景 絵里(高知大学 医学部 外科学講座 外科1), 志賀 舞(高知大学 医学部 外科学講座 外科1), 北川 博之(高知大学 医学部 外科学講座 外科1), 羽柴 基(高知大学 医学部 消化器内科学講座), 山岡 肇(高知大学 医学部 消化器内科学講座), 水田 洋(高知大学 医学部 消化器内科学講座), 東谷 芳史(高知大学 医学部 消化器内科学講座), 岡本 宣人(高知大学 医学部 消化器内科学講座), 岩崎 信二(高知大学 医学部 消化器内科学講座), 小林 道也(高知大学 医学部 医療学講座 医療管理学分野), 西原 利治(高知大学 医学部 消化器内科学講座), 花崎 和弘(高知大学 医学部 外科学講座 外科1)
抄録 【背景】平滑筋腫は消化管間葉系細胞由来の腫瘍で、食道、胃に比較的多くみられるが、食道胃接合部に発生することは比較的稀であり、治療にあたっては下部食道括約筋帯やHis角などの逆流防止機構への配慮が重要となってくる。【症例】38歳の男性。30歳時に胃癌検診にて噴門部の粘膜下腫瘍を指摘され、近医で内視鏡検査で経過観察されていたが、同腫瘍の増大傾向のため当院に紹介となった。上部消化管内視鏡検査で食道胃接合部になだらかな立ち上がりの隆起性病変を認め、病変の口側から扁平円柱上皮境界領域では正常な粘膜面に覆われ、肛門側の噴門部では一部に粘膜面の陥凹を伴っていた。上部消化管造影検査では管腔内に突出する表面平滑な病変として描出され、CTでは約41mm大の境界明瞭で内部均一な腫瘤性病変であった。増大傾向にある粘膜下腫瘍のため、手術治療の方針となり、病変部の摘出術を行った。噴門部の前壁に腫瘤を触知し、腫瘍辺縁からmarginをとって胃壁を切開、内腔面を確認しながら食道側へ切離を進めていき、腫瘍を含めた噴門部と腹部食道の部分切除術を施行した。切除部の孔は口側では食道断端と胃側を合わせるように、肛門側では胃壁をAlbert-Lembert縫合で行った。摘出標本で腫瘍は、肛門側で大きく、口側で小さくなるように6×3×3 cmの勾玉状の発育形態を呈しており、病理組織では、腫瘍の主座は粘膜下層にあり、一部で固有筋層との連続性も窺えられた。腫瘍の境界は明瞭で、異型の乏しい紡錘形細胞の増生があり、細胞密度は低く、壊死はなく、細胞分裂像は強拡大10視野で1個未満であった。免疫染色では、α-SMA (+)、desmin (+)、h-caldesmon (+)、CD34 (-)、S-100 protein (-)で、平滑筋腫の診断であった。術後は良好に経過し、術後14日に退院、現在まで逆流症状も認めていない。【結語】平滑筋種の外科的切除にあたっては、病変部の部分切除術が基本となるが、食道胃接合部に発生した場合、特異な形態をとることがあり、また食道胃接合部は逆流防止機構として重要な役割を担っているため、QOLを損なわないような術式を考慮しなければならない。
索引用語 平滑筋種, 食道胃接合部