セッション情報 一般演題(初期研修医)

タイトル 27:

ソラフェニブ少量投与が奏功している下大静脈浸潤を伴った多発肝細胞癌の1例

演者 梅下 仁(社会医療法人近森会 近森病院 消化器内科)
共同演者 北岡 真由子(社会医療法人近森会 近森病院 消化器内科), 大川 良洋(社会医療法人近森会 近森病院 消化器内科), 山本 泰正(社会医療法人近森会 近森病院 消化器内科), 村岡 朋美(社会医療法人近森会 近森病院 消化器内科), 鈴木 美香(社会医療法人近森会 近森病院 消化器内科), 斉藤 純子(社会医療法人近森会 近森病院 消化器内科), 富田 秀春(社会医療法人近森会 近森病院 消化器内科), 近森 正康(社会医療法人近森会 近森病院 消化器内科), 市川 博源(社会医療法人近森会 近森病院 消化器内科), 高松 正宏(社会医療法人近森会 近森病院 消化器内科), 岡田 光生(社会医療法人近森会 近森病院 消化器内科), 青野 礼(社会医療法人近森会 近森病院 消化器内科), 榮枝 弘司(社会医療法人近森会 近森病院 消化器内科), 清水 和人(社会医療法人近森会 近森病院 放射線科), 宮崎 延浩(社会医療法人近森会 近森病院 放射線科), 森田 賢(社会医療法人近森会 近森病院 放射線科)
抄録 【症例】70代後半男性 【主訴】腫瘍マーカー上昇 【既往歴】外傷性くも膜下出血【臨床経過】C型肝硬変にて他院通院中にAFPの上昇を認め、2010年当科紹介される。AFP 554 ng/ml、PIVKA 515 mAU/mと腫瘍マーカーは上昇し、CTおよびEOB-MRIでS1,S2,S5,S7に1~2cm大の肝細胞癌を5個認め、下大静脈にも浸潤していた。10月および11月にTACEを施行し、12月初めのCTでは肝内のHCCへのlipiodol集積は良好で、新たなHCCも認めなかったが,IVCへの浸潤は著明に増大し、腫瘍マーカーもAFP 958ng/ml、PIVKA 2840mAU/mと更に上昇していた。肝機能はChild Aであり、12月初めよりソラフェニブ600mg/日を開始した。その2週後には中等度の手足症候群および頻回の下痢が出現したため休薬し、症状が改善した1週後より200mgにて再開した。その2週後より400mgに増量したが、手足症候群は再悪化し200mgに減量した。以後は本人の希望にて200mg/日を継続投与していた。ソラフェニブ開始1ヶ月後にはAFPは減少に転じ、5ヶ月目にはAFP 18 ng/mlとなり、CTでも肝内のHCCは縮小して再発はなく、下大静脈浸潤も著明に縮小していた。その後AFPは、13ヶ月までは 10~18 ng/mlで経過していたが、3月にAFPが111ng/mlに上昇したため、胸腹部CTを施行した。肝内再発もなく、下大静脈浸潤も更に縮小していたが、右副腎に25mm大の転移を認めた。本人を説得し400mgに増量したところ、副腎転移は著明に縮小しAFPも正常化した。現在ソラフェニブ開始後29ヶ月経過しているが、再発を認めず経過良好である。【結語】下大静脈浸潤を伴った多発肝細胞癌にソラフェニブ少量投与が奏功し、さらに経過中に出現した副腎転移がソラフェニブ増量により縮小した1例を経験した。
索引用語 肝細胞癌, ソラフェニブ