セッション情報 一般演題

タイトル 30:

膵癌に伴う癌性疼痛の疑いにEUSFNA/EUSCPNを同時に施行した1例

演者 田中 育太(高松市民病院 消化器内科)
共同演者 友兼 毅(高松市民病院 消化器内科), 多田 早織(高松市民病院 消化器内科), 吉野 すみ(高松市民病院 内科), 福田 洋(高松市民病院 外科), 井内 正裕(高松市民病院 外科), 尾形 頼彦(高松市民病院 外科), 小笠原 卓(高松市民病院 外科), 四方 祐子(高松市民病院 外科), 和田 大助(高松市民病院 外科), 熊谷 久治郎(高松市民病院 病理部), 六車 直樹(徳島大学病院 消化器内科)
抄録 症例は64歳男性。2013年5月より腰背部痛を自覚し近医を受診。CTにて膵腫瘍を疑われ、6月上旬当院外科に紹介された。CT上、膵頭体部の腫瘍は尾側膵管の拡張を伴い上腸間膜動脈への浸潤を認め、後腹膜や胃周囲リンパ節転移も疑われた。ERCPでは、胆管浸潤を疑う所見なく、主膵管は頭部で途絶し尾側膵管は造影されずガイドワイヤーも狭窄部を通過せず、膵液細胞診と生検を施行したが確定診断を得られなかった。画像所見などから膵癌と判断し、S1/GEMによる化学療法と、疼痛管理が開始された。少量のオピオイドでの疼痛コントロールは不十分で疼痛緩和としてEUS-CPNと、EUS-FNAによる確定診断を得ることを目的に当科入院。入院時、発熱性好中球減少を認め、改善後にEUS-FNA/CPNを施行した。22GのEG-shot(olympus)で膵腫瘍を2回穿刺し組織採取後に、CPNを施行。腹腔動脈起始部周囲にマーカイン計4mlと10%造影剤を混入したエタノールを計18ml注入し、明らかな出血を認めないことを確認し終了した。病理は細胞診でclass V(腺癌)の診断を得た。また疼痛は、CPN前は塩酸オキシコドン定期で40mg/dayとレスキューで20~40mg/dayを服用しVisual Analog Scale(VAS)3~8であったが、後には塩酸オキシコドン定期20mg/dayとレスキュー5~15mg/dayでVAS0~4程度と一定の効果を認めた。処置に伴う偶発症は認めず2日後に退院され、現在は外来で化学療法と疼痛などの管理を行なっている。EUS-CPNは腹腔神経叢ブロックの手段として1996年に報告され、有用で比較的安全な手技とされている。本症例のようにEUS-FNA/CPNを同時に行うことで、処置回数を減らせ有用な場合もあると考えられ報告する。
索引用語 膵癌, EUS-CPN