セッション情報 一般演題

タイトル 18:

ペグインターフェロン+リバビリン投与中、自己免疫性溶血性貧血を合併したC型慢性肝炎の1例

演者 谷内 恵介(高知大学 医学部 薬理DELIMITER高知大学 医学部 消化器内科)
共同演者 岩崎 信二(高知大学 医学部 消化器内科), 小笠原 光成(高知大学 医学部 消化器内科), 羽柴 基(高知大学 医学部 消化器内科), 吉岡 玲子(高知大学 医学部 消化器内科), 廣瀬 享(高知大学 医学部 消化器内科), 高橋 昌也(高知大学 医学部 消化器内科), 小野 正文(高知大学 医学部 消化器内科), 西原 利治(高知大学 医学部 消化器内科)
抄録 【症例】64歳男性。【現病歴】genotype 1b、高ウイルス量で、2006年(57歳時)にペグインターフェロン(Peg-IFN)α2b+リバビリン併用療法を受けたが、12 kgの体重減少と全身倦怠感のため両剤を21週で中止している。中止時Hbは11 g/dlで、8週後には14.7 g/dlまで回復した。2012年12月に再治療を希望して来院、Peg-IFNα2a 90 μg/wk、リバビリン400 mg/dで開始した。(開始時血液検査所見)ALT 92 IU/l, AST 87 IU/l, ALP 252 IU/l, γ-GTP 183 IU/l, T-Bil 0.8 mg/dl, ALB 4.0 g/dl, RBC 400×104/μl, Hb 14.9 g/dl, Plt 10.3×104/μl。【経過】開始21週でHbが10 g/dlとなり、息切れもあったため、リバビリンを中止した。その後も貧血の進行とともに動悸・立ちくらみなどの症状が増悪し、25週目にはPeg-IFNも中止した。投与中断にもかかわらず貧血が進行し、27週目にはHbが 8.1 g/dlとなり、赤血球の大小不同や凝集、連銭形成が顕著になった。この時、網状赤血球比率は8.3%に上昇し、その他の所見からリバビリンによる溶血性貧血以外の原因を疑った。【経過】MCV、MCHの上昇を認めたがビタミンは正常であった。直接クームス、間接クームステストが共に陽性であり、自己免疫性溶血性貧血(AIHA)を強く疑った。プレドニンを初期量0.5mg/kgで投与し比較的急速に貧血の改善を見たことも考慮しAIHAと診断した。【考察】IFN治療歴のあるC型慢性肝炎患者では、治療歴のない患者と比較して、AIHA発症のHRは約10倍であったとの報告がある。IFN再治療でのAIHA発症例も報告されており、再投与をされた本例でもIFNが関与した可能性がある。稀な合併症ではあるが、リバビリン投与でほとんど全例に見られる貧血との鑑別が困難な場合も考えられるため、注意深い観察が必要である。
索引用語 インターフェロン, 自己免疫性溶血性貧血