共同演者 |
並川 努(高知大学 医学部 外科学講座 外科1), 宗景 絵里(高知大学 医学部 外科学講座 外科1), 宗景 匡也(高知大学 医学部 外科学講座 外科1), 上村 直(高知大学 医学部 外科学講座 外科1), 志賀 舞(高知大学 医学部 外科学講座 外科1), 北川 博之(高知大学 医学部 外科学講座 外科1), 羽柴 基(高知大学 医学部 消化器内科学講座), 水田 洋(高知大学 医学部 消化器内科学講座), 小林 道也(高知大学 医学部 がん治療センターDELIMITER高知大学 医学部 医療学講座 医療管理学分野), 西原 利治(高知大学 医学部 消化器内科学講座), 花崎 和弘(高知大学 医学部 がん治療センター) |
抄録 |
【目的】11 mmの病巣に対して内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD) 後、追加切除として腹腔鏡補助下幽門側胃切除術を施行し、術後肝転移、骨転移再発をきたしたHER2強陽性早期胃癌を経験したので報告する。【症例】65歳の男性。検診を契機に胃癌を発見され当院に紹介となった。上部内視鏡検査で11 mm大の表在陥凹型の胃癌を認め、生検で高分化型管状腺癌で、CT検査では所属リンパ節腫大、遠隔転移所見は認めず、ESDを施行した。病理組織検査で500 µmの粘膜下層浸潤を認め、リンパ管侵襲陽性、静脈侵襲陰性で、追加切除として腹腔鏡補助下幽門側胃切除術、D1+8a, 9, 11pリンパ節郭清、Billroth I法再建を施行した。病理組織で癌遺残、リンパ節転移を認めず、L, Post, Type 0-IIc, 1.1 cm, T1b(SM), N0, M0, P0, H0, tub1, ly0, v1, Stage IAの最終診断であった。術後経過は良好で第14病日に退院となった。術後1年のCT検査で4.8 cm単発の肝転移を認め、他に転移所見を認めず、肝転移巣の切除を施行した。HER2はIHC 3+の高分化型管状腺癌であった。術後Trastuzumab + Capecitabine + Cisplatinによる化学療法を行ったが、肝切除後8か月に腰椎転移をきたしTrastuzumab + Irinotecan + Docetaxelで二次化学療法を施行した。胃切除後37か月で緩和主体治療への移行となった。【結論】小さな早期胃癌でも遠隔転移をきたすことがあり、HER2陽性胃癌と予後との相関、治療方針の検討が望まれる。 |