セッション情報 ビデオシンポジウム「消化器領域の診断と治療における新展開」

タイトル VS-02:

5-アミノレブリン酸を用いた光力学診断の胃癌への適応

演者 並川 努(高知大学 医学部 外科学講座 外科1)
共同演者 宗景 絵里(高知大学 医学部 外科学講座 外科1), 上村 直(高知大学 医学部 外科学講座 外科1), 志賀 舞(高知大学 医学部 外科学講座 外科1), 前田 広道(高知大学 医学部 がん治療センター), 北川 博之(高知大学 医学部 外科学講座 外科1), 福原 秀雄(高知大学 医学部 泌尿器科学講座), 井上 啓史(高知大学 医学部 泌尿器科学講座), 執印 太郎(高知大学 医学部 泌尿器科学講座), 小林 道也(高知大学 医学部 がん治療センターDELIMITER高知大学 医学部 医療学講座 医療管理学分野), 花崎 和弘(高知大学 医学部 外科学講座 外科1)
抄録 【目的】光感受性物質を用いて蛍光物質の癌細胞に特異的な過剰集積する特性を利用した光力学診断 (photodynamic diagnosis: PDD)の有用性が注目されている。胃癌に対する5-アミノレブリン酸 (5-aminolevulinic acid: ALA)を用いたPDDの臨床応用について探索的検討を行った。【対象と方法】本研究の同意の得られた手術適応胃癌21症例26病変を対象とした。光力学診断装置は、KARL STORZ GmbH&Co製の専用ビデオカメラシステム (Endovision TELECAM SL/IPMPDD System)、光源 (D-Light AF System)および光学視野 (PDD専用腹腔鏡HOPKINSII Straight Forward Telescope)を用いた。光源には300W Xenon lampを使用し、励起光は380-440nmの青色光で、先端出力は50 mWとした。全身麻酔下にALA 1g/5%ブドウ糖液50ml溶解液を胃管から投与し、摘除胃をPDD専用装置を用いて観察し、その病理組織学的所見と対比し評価した。【結果】年齢中央値は66歳 (43- 82)、男性14例、女性7例、Stage I 13例、II 1例、III 4例、IV 3例であった。11症例、15病変で病変部に赤色蛍光励起を認め (PDD陽性)、胃癌に併存した腺腫3例、過形成性ポリープ4例を含めると、正診率 66.7%、感度 57.7%、特異度 100%、陽性予測値 100%、陰性予測値 38.9%であった。赤色蛍光励起を認めなかった10症例11病変 (PDD陰性)と比較すると、PDD陽性群は陰性群に比し腹腔鏡補助下手術の割合が少なく (18.2% vs. 60.0%; P = 0.049)、分化型胃癌が多かった (93.3% vs. 27.3%; P < 0.001)。腫瘍の大きさ、壁深達度、リンパ節転移の有無、病期、脈管侵襲の有無については有意差を認めなかった。ALA投与に伴う光線過敏症、肝機能障害等は認めなかった。【結語】ALAを用いたPDDは分化型の胃癌において病変の的確な水平方向進展範囲の診断補助になる可能性が示唆された。
索引用語 光力学的診断, 5-アミノレブリン酸