セッション情報 一般演題(後期研修医)

タイトル 31:

膵体尾部Mucinous cystic neoplasm (MCN)に対して完全腹腔鏡下尾側膵切除術を施行した高度肥満症例の1例

演者 西浦 文平(香川大学 医学部 附属病院 消化器外科 )
共同演者 岡野 圭一(香川大学 医学部 附属病院 消化器外科 ), 和田 侑稀子(香川大学 医学部 附属病院 消化器外科 ), 近藤 彰宏(香川大学 医学部 附属病院 消化器外科 ), 藤井 喬之(香川大学 医学部 附属病院 消化器外科 ), 浅野 栄介(香川大学 医学部 附属病院 消化器外科 ), 西村 充孝(香川大学 医学部 附属病院 消化器外科 ), 大島 稔(香川大学 医学部 附属病院 消化器外科 ), 山本 尚樹(香川大学 医学部 附属病院 消化器外科 ), 西澤 祐吏(香川大学 医学部 附属病院 消化器外科 ), 赤本 伸太郎(香川大学 医学部 附属病院 消化器外科 ), 藤原 理朗(香川大学 医学部 附属病院 消化器外科 ), 臼杵 尚志(香川大学 医学部 附属病院 手術部), 鈴木 康之(香川大学 医学部 附属病院 消化器外科 )
抄録 高度肥満患者(BMI 36)のMCNに対して完全腹腔鏡下尾側膵切除術を施行したので報告する。症例は50歳代の女性。3年前に卵巣癌の術前精査で膵尾部に嚢胞性病変を指摘されていた。同時切除の予定であったが、卵巣癌の腹膜播種を認めたため、膵切除は施行されなかった。術後化学療法により卵巣癌はCRとなったため、膵病変に対する精査、手術目的に当科紹介となった。CTでは膵体尾部に径40mm大の嚢胞性病変と遷延性濃染を示す被膜が認められた。PETでは病変に異常集積は認められなかった。EUSでも径40mmの厚い皮膜を有する嚢胞性病変を認め、壁在結節は確認されなかった。以上より膵尾部MCNの診断で腹腔鏡下手術の方針とした。臍部にEZアクセスを置き、2本(5mm)のポートを追加した。視野展開のためにレトラクターを加えた。SMV前面で自動縫合器により膵切離を施行し、1群リンパ節郭清を伴った尾側膵切除を施行した。術後はGradeAの膵瘻を認めたが保存的に改善し、術後18日目に退院した。病理結果は卵巣様間質を認めmucinous cystadenomaの診断であった。現在は術後5か月目で経過良好である。IPMN/MCN診療ガイドライン(2012)によると、MCNの浸潤癌の頻度は15%未満であり、4cm未満で壁在結節のないMCNに悪性症例はなく、腹腔鏡下手術の適応とされている。今回のような高度肥満患者においても膵背側の剥離操作などで開腹手術に比較して良好な視野で行うことが可能であった。手術ビデオを供覧し、若干の文献的考察を含めて報告する。
索引用語 肥満, 腹腔鏡下手術